「短期滞在手術等基本料1の届出でクリニックの収益力向上(2024年12月18日付)」の際に、”短期滞在手術等基本料1を算定するには、1ヶ月の診療実績が必要です。なぜ1ヶ月の診療実績が必要かはまた改めてお話します。開業してすぐに算定することができませんので注意が必要です。”とお話させていただきましたが、今回はなぜ1ヶ月の診療実績が必要なのかを説明したいと思います。結論からお話しますと、短期滞在手術等基本料1は基本診療料の入院料等に該当するため、届出前に1か月の実績が必要になります。結論だけ言っても、何それ?ってなると思います。結論を理解するには、基本的な診療報酬の仕組みからお話する必要があります。診療報酬は基本診療料と特掲診療料に分類されています。基本診療料はさらに、初・再診料、入院料等。特掲診療料は、医学管理等、在宅医療、検査、画像診断、投薬、注射、リハビリテーション、精神科専門療法、処置、手術、麻酔、放射線治療、病理診断、その他に分類されています。診察料と入院料が基本診療料。それ以外の医療行為等は特掲診療料という分類となります。短期滞在手術等基本料1は基本診療料の入院料等に分類されます。短期滞在手術等基本料1は基本診療料に分類されることを前提に、基本診療料と特掲診療料はそれぞれ届出の通則という決まりがあるのです。基本診療料の届出の通則基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保 医 発 0305第5号)第2 届出に関する手続きより特掲診療料の届出の通則特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(保 医 発 0305第6号)第2 届出に関する手続きより以上のように基本診療料⇒届出前1か月の実績を有していること特掲診療料⇒実績期間を要しないいずれもただし書きがあるので、届出の際は、こちらの通則を確認していただきたいと思います。基本診療料→こちらの3ページ目特掲診療料→こちらの3ページ目以降特に特掲診療料は手術など例外が多いので注意が必要です。短期滞在手術等基本料1については、ただし書きにないので、届出前1か月の実績を有していることとなります。 もし4月1日に開業した場合は最短で算定するには、5月1日に届出をすると5月1日から算定できますが、5月2日に届出をした場合は翌月の6月1日からの算定になりますので注意が必要です。(1日が休日の場合は最初の開庁日)こちらも届出の通則に記載されていますので確認してください。 この場合は最初の1か月は、出来高算定で初再診料+手術料で算定することになります。まとめ以上のように、診療報酬制度はただし書きも多く複雑です。開業当初は他の業務に追われ二の次になりがちですが、収入を支える重要な柱となります。加えて、レセプトなどを通して審査機関にも情報が入りやすく、施設基準をきちんと管理していないと査定や返戻などにつながり、最悪な場合は個別指導や監査に入られるといったことも考えられます。アウトソーシングも選択肢に含めて検討していただきたいと思います。