高額医療機器(例:CT、MRIなど)は、地域によって設置台数に差があり、効率的な医療提供体制を構築するために、国は医療機器の共同利用を推進しています。この共同利用により、医療機器の効率的な活用が期待されます。撮影を行う医療機関において、撮影のみを実施する場合と、診察や読影等まで行う場合では、算定方法や使用料のやり取りが異なるため、注意が必要です。算定方法の詳細(1) 設備の使用(撮影等)のみ実施した場合 ① 依頼を受ける医療機関の役割CTやMRIなどの撮影のみを行います。初診料、診療情報提供料(Ⅰ)、検査料、画像診断料などは算定できません。レセプト請求や患者との金銭のやり取りは発生しません。撮影結果を依頼する医療機関に提供し、使用料を受け取ります。 ② 依頼する医療機関の役割撮影結果を基に画像診断料などを保険請求します。依頼を受ける医療機関に対して使用料を支払います。 ③ 診療報酬明細書の記載依頼する医療機関は、診療報酬明細書の摘要欄に「画診共同」と記載します。(2) 設備の使用(撮影等)だけでなく読影等も実施した場合 ① 依頼を受ける医療機関の役割撮影結果の読影を行い、さらに対診を実施します。初診料、診療情報提供料(Ⅰ)、検査料、画像診断料などを算定できます。レセプト請求や患者との金銭のやり取りが発生します。読影結果を診療情報提供文書として依頼する医療機関に回答します。 ② 依頼する医療機関の役割撮影に関わる画像診断料は算定しません。この場合、「画診共同」の事例には該当しません。撮影のために患者さんを撮影医療機関に紹介するかたちとなります。(3) CT・MRI共同利用におけるその他の留意点 ① 高性能CT・MRIの点数設定「共同利用施設において行われる場合」の点数が設定されています。依頼を受ける医療機関が共同利用の実績を10%以上有する場合、通常より20点多い点数を算定可能です。 ② 依頼する医療機関が画像診断料を算定する場合依頼を受ける医療機関の共同利用実績にかかわらず、「共同利用施設において行われる場合」の点数を算定可能です。まとめ医療機器の共同利用は、地域間の医療機器の偏在を解消し、効率的な医療提供を実現するための重要な取り組みです。依頼を受ける医療機関にとっては、医療機器の稼働率を向上させることが可能となります。依頼する医療機関にとっては、高額な医療機器を購入することなく、CTやMRIの検査を実施することが可能となります。算定方法については、依頼する医療機関と依頼を受ける医療機関の役割分担が明確に定められており、診療報酬の請求方法や点数設定に関するルールが存在します。また、医療機関間での契約や運用体制の整備が必要となるため、関係者間での十分な協議と合意形成が求められます。