2025/9/29

お知らせ

令和7年10月施行「教育訓練休暇給付金」の概要と手続きの流れ

2025年(令和7年)10月1日より、働きながら学び直し(リスキリング)に取り組む労働者を支援するための新しい制度「教育訓練休暇給付金」が始まります。これは、労働者が自発的に教育訓練のための休暇を取得した際に、その間の生活を支えるために雇用保険から給付金が支給されるものです。

制度の概要

この制度は、労働者がキャリアアップや新しいスキル習得のために、安心して休暇を取得し、学習に専念できる環境を整えることを目的としています。育児休業給付金や介護休業給付金と似た仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

主なポイント

対象者

雇用保険の被保険者

支給要件

以下の要件をすべて満たす必要あり
① 休暇開始日までの雇用保険の被保険者期間が通算5年以上あること
② 休暇開始前の2年間に、被保険者期間(賃金支払基礎日数が11日以上ある月)が12ヶ月以上あること

対象となる休暇

以下の要件をすべて満たす休暇
① 就業規則や労働協約に定められた制度に基づく休暇であること
② 労働者が自発的に取得を希望し、事業主が承認したものであること
③ 連続30日以上の無給の休暇であること

給付額

原則として、離職した場合に受け取れる失業給付(基本手当)と同等の額が支給されます。これは、休暇開始前の6ヶ月間の賃金をもとに計算され、おおよそ賃金の50%~80%が目安となります(年齢により上限額あり)。

給付日数

雇用保険の被保険者であった期間に応じて、上限日数が異なります。
5年以上10年未満:最大90日分 ・10年以上20年未満:最大120日分 ・20年以上:最大150日分

対象となる教育訓練

大学、大学院、短期大学、高等専門学校、専修学校での受講や、教育訓練給付金の指定講座、司法修習など、キャリアアップに繋がる幅広い訓練が対象となります。

【注意点】

  • 会社の業務命令で受講させる場合は対象外です。あくまで労働者本人の自発的な意思が前提となります。

  • 休暇中にアルバイトや副業などで収入を得た日や、有給休暇など別の休暇を取得した日は、給付の対象となりません。

  • この給付金を受給すると、その算定の基礎となった被保険者期間は、将来、失業給付(基本手当)を受け取る際の計算からは除かれます。


手続きの流れ

教育訓練休暇給付金を受給するための、労働者と事業主双方の手続きの流れは以下の通りです。

【Step 1】労働者:休暇取得の意思表示と準備

  1. キャリアプランの検討と講座選択:
    ご自身のキャリアプランに基づき、受講したい教育訓練(大学、専門学校、指定講座など)を決定します。

  2. 事業主への相談・申し出:
    会社の就業規則等で教育訓練休暇制度の有無を確認し、上司や人事部に休暇取得の意向を相談・申し出ます。

【Step 2】事業主:休暇制度の確認と承認

  1. 就業規則の確認・整備:
    教育訓練休暇制度が就業規則や労働協約に定められているか確認します。もし制度がない場合は、給付金の対象となるために規定を整備する必要があります。

  2. 休暇の承認:
    労働者からの申し出内容(訓練内容、期間など)を確認し、業務への影響を考慮した上で休暇を承認します。

【Step 3】事業主・労働者:ハローワークへの手続き

  1. 事業主による書類提出(休暇開始後):
    労働者が休暇を開始したら、事業主は管轄のハローワークへ「雇用保険被保険者教育訓練休暇開始時賃金月額証明書」などの必要書類を提出します。

  2. 労働者による支給申請:

  • 事業主がハローワークへ書類を提出すると、ハローワークから事業主へ「教育訓練休暇給付金支給申請書」などが交付されます。

  • 労働者は、事業主経由で申請書を受け取り、必要事項を記入します。

  • 原則として30日に1回、管轄のハローワークへ申請書と必要な確認書類(教育訓練の受講を証明する書類など)を提出し、休暇取得の実績について認定を受けます。

【Step 4】給付金の受給

ハローワークが申請内容を審査し、要件を満たしていることが確認されると、労働者が指定した金融機関の口座に給付金が振り込まれます。

【手続きのポイント】

  • 事前の相談が重要: スムーズに手続きを進めるため、労働者と事業主の間で十分にコミュニケーションを取ることが不可欠です。

  • ハローワークへの確認: ご自身の状況が支給要件に該当するか、希望する講座が対象となるかなど、不明な点は事前に管轄のハローワークへ相談することをお勧めします。

この制度はまだ施行前であり、詳細な手続き方法や様式については今後、厚生労働省から発表される予定です。最新の情報は、厚生労働省やハローワークのウェブサイトでご確認ください。

事業主の方に関する留意事項

  • 解雇等予定者の取扱いにご注意ください
    解雇や雇止めを予定している労働者にこの休暇を取得させることは認められません。万が一、その旨を偽って届け出た場合、罰則の対象となる可能性があります。

  • 業務命令による休暇は対象外です
    この給付金は、あくまで労働者が「自発的に」休暇を取得する場合を対象としています。会社の業務命令で資格取得などをさせるために休暇を取得させる場合は、給付金の対象とはなりません。業務命令で教育訓練等を受講させる場合は、人材開発等支援助成金を活用できる場合があります。

  • ハローワークからの交付書類は速やかに本人へ
    ハローワークから交付された申請書や証明票は、給付金の手続きに不可欠な書類です。対象の労働者へ速やかに交付してください。

  • 就業規則の整備が必要です
    給付金の対象となるには、教育訓練のための休暇制度が就業規則や労働協約に規定されている必要があります。規定の仕方については、ハローワークや働き方改革推進支援センターで相談が可能です。


労働者の方に関する留意事項

  • 被保険者期間がリセットされます
    教育訓練休暇給付金の支給を受けると、その計算の基礎となった休暇開始日より前の雇用保険の被保険者期間は通算されなくなります(リセットされます)。そのため、将来、離職した際の失業給付(基本手当)など、他の給付が一定期間受けられなくなる可能性がありますのでご注意ください。

  • 受給期間は1年間です
    給付金を受けられる期間(受給期間)は、最初に休暇を開始した日から1年間です。1年を超える休暇を取得した場合、所定の給付日数が残っていても、1年を経過した日以降は支給されません。

  • 休暇中の就労・収入について
    休暇中にアルバイトや副業などで収入を伴う就労を行った日は、給付の対象となりません。また、有給休暇など、教育訓練休暇とは別の休暇を取得した日も対象外です。

  • 不正受給は厳しく罰せられます
    偽りの申請など、不正な行為によって給付金を受けようとした場合、給付が停止されるだけでなく、不正に受給した金額の返還と、さらにその2倍の金額の納付が命じられます。悪質な場合は詐欺罪として処罰されることもあります。

この制度に関するご不明な点や詳細については、事業主の方は事業所の所在地を、労働者の方は住居所を管轄するハローワークへお問い合わせください。

厚生労働省ホームページ参照