2025/10/24

お知らせ

医事職員のための「ヘリコバクターピロリ感染症レセプトコメント」早わかりガイド

ヘリコバクターピロリ感染症の検査・治療は、算定ルールやレセプトコメントが少しわかりづらいです。

レセプトコメントは、審査員(支払基金など)に対して「私たちはルールブック通り、正しく診療・算定しています!」と証明するための「証拠」です。これを書かないと、「ルール違反(または確認不能)」とみなされ、査定・返戻に直結します。

まずは、対象患者と治療全体の簡単な流れを把握しましょう。


対象患者

ヘリコバクター・ピロリ感染症に係る検査については、以下に掲げる患者のうち、ヘリコバクター・ピロリ感染が疑われる患者に限り算定できる。となっています。

① 内視鏡検査又は造影検査において胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の確定診断がなされた患者

② 胃MALTリンパ腫の患者

③ 特発性血小板減少性紫斑病の患者

④ 早期胃癌に対する内視鏡的治療後の患者

⑤ 内視鏡検査において胃炎の確定診断がなされた患者

今回は特に多い①と⑤のケースについて取り上げます。

ヘリコバクターピロリ感染症治療の簡単な流れ

ヘリコバクターピロリ感染症の診療は、基本的に以下の順番(時系列)で進みます。レセプトコメントも、この流れに沿って必要になります。

  1. 【診断】 胃カメラ(内視鏡)などで、「胃炎」や「胃潰瘍」であると確定診断します。

  2. 【検査】(除菌前) 「胃炎」などの患者さんに対し、ヘリコバクターピロリ感染症がいるかどうかをチェックします。

  3. 【治療】(一次除菌) 検査で「陽性」だったら、1回目の除菌薬(7日間)を処方します。

  4. 【判定】(除菌後) 薬を飲み終わってから4週間以上待ち、菌がちゃんと消えたか(除菌が成功したか)をチェックします。

  5. (もし消えていなければ…)
    【治療】(二次除菌)→【判定】(再判定) へと進みます。


ステップ別:必須コメント早わかり

それでは、上記の流れに沿って「いつ・何を書くか」を見ていきましょう。

ステップ①:2の【検査】(除菌前)

~ヘリコバクターピロリ感染症がいるか調べる時~

  • いつ書く?

    「最初の」ヘリコバクターピロリ感染症検査(尿素呼気試験、抗体測定、迅速ウレアーゼ試験など)を算定するレセプト。

  • 何を書く?

    「胃炎」または「胃潰瘍」の確定診断の根拠です。

    (例1)内視鏡検査所見:萎縮性胃炎

    (例2)内視鏡検査実施日:令和X年X月X日

    ただ『傷病名(病名)から、胃潰瘍·十二指腸潰瘍または胃炎と判断できる場合には、確定診断した内視鏡検査または造影検査(胃炎を除く)の実施日を記載すればよい』という事務連絡もあるので
    ·胃潰瘍や十二指腸潰瘍と確定診断した内視鏡や造影剤検査の実施日

    ·胃炎と確定診断のあった内視鏡検査の実施日
    の実施日コメントをいれることになります。

ステップ②:3の【治療】(除菌)

~ヘリコバクターピロリ感染症の除菌薬を出す時~

処方する薬が「一次」か「二次」かで、対応が分かれます。

パターンA:一次除菌(ボノサップ、ラベキュアなど)

  • コメントは?

    通知上、必須ではありません

  • なぜ不要?(審査側の視点)

    審査員は「突合審査(複数月のレセプトをチェック)」します。

ステップ1のレセプトで「胃炎でピロリ検査(陽性)」の履歴を見れば、「あぁ、だから今月、除菌薬(一次)を出すんだな」と論理的に納得できるからです。

検査なしでいきなり除菌薬を出すのはダメということになります。

パターンB:二次除菌(ボノピオン、ラベファインなど)

  • コメントは?

    通知に必須とは書いていませんが、「実務上は必要」です。

  • 何を書く?

    (例)一次除菌不成功(または無効)のため

  • なぜ書く?(審査側の視点)

    このコメントがないと、審査員は「なんで一次除菌を飛ばしてるの!? ルール違反だ!」と判断し、即座に疑義(返戻)を打ちます。

    先に理由を書くことで、無用なトラブル(返戻対応の手間)を未然に防ぎます。

ステップ3:4の【判定】(除菌後)

~菌がいなくなったかチェックする時~

除菌治療が終わった後の、チェック検査の段階です。

  • いつ書く?

    除菌治療後、「除菌判定」のための検査(尿素呼気試験など)を算定するレセプト。

  • 何を書く?

    (例)除菌終了年月日:令和X年X月X日

  • なぜ書く?(審査側の視点)

    ルール上、除菌判定検査は「除菌薬を飲み終わってから、4週間以上あけないといけない」と決まっています。

    審査員は、このコメントの日付と検査の実施日を見比べて、「ちゃんと4週間以上あいてるな、OK」と確認するために使います。


※おまけ:【全検査共通】の注意コメント

  • いつ書く?

    ステップ1(除菌前)またはステップ3(除菌後)の検査を算定するとき。

  • 何を書く?

    もし患者さんがPPI(タケプロン、ネキシウムなど)を飲んでいたら、「薬剤投与中止年月日」

  • なぜ書く?(審査側の視点)

    PPIは、ヘリコバクターピロリ感染症検査の結果を「偽陰性(本当は菌がいるのに陰性になる)」にしてしまいます。

    ルールでは「薬をやめてから2週間以上あけて検査」する必要があります。

    このコメントで「ちゃんとルールを守って、信頼できる検査をしましたよ」と証明します。

まとめ

除菌薬を処方する時にレセプトコメントが必要になるのかと思ってしまいますが、こちらの厚生労働省通知の1対象患者に「ヘリコバクター・ピロリ感染症に係る検査について」と検査と明記しているので、わたしなりの見解で以下の通知をまとめてみました。あくまでも個人の見解なので、最終的な判断は審査機関等に確認をお願いします。確認して、当該記事に相違があった場合はこちらにてお知らせいただけると幸いです。

参照 厚生労働省通知