2025/12/16
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半休をとった日の残業代はどうなる? 定時を過ぎても割増がつかない理由【社労士解説】
「午前半休を取って午後から出社したけれど、結局忙しくて定時(18時)を過ぎてしまった……」
そんな時、ふと疑問に思うことはないでしょうか?
「これって、定時を過ぎた分は『残業代(割増賃金)』が出るの?」
いつも通り定時まで働いた日なら、定時以降は当然「残業」になります。しかし、半休を取得した日は少し事情が異なります。
結論から言うと、半休の日は「定時を過ぎても、すぐに割増賃金(1.25倍)が発生するわけではない」ケースがほとんどです。
「えっ、損してない!?」と感じるかもしれませんが、これは法律上の「実労働時間」の数え方に理由があります。
この記事では、以下のポイントを分かりやすく解説します。
なぜ定時を過ぎても割増がつかないのか?(実労働時間のルール)
どのラインを超えたら「割増賃金」が発生するのか?
午後出社でも注意したい「休憩時間」の落とし穴
給与明細を見て「あれ?」となる前に、正しいルールの仕組みをサクッと理解しておきましょう。
1. 原則:「実労働時間」で考えるということ
まず大前提として、労働基準法における残業(時間外労働)の定義を確認しましょう。
法律では、「休憩時間を除いて1日8時間を超えて働いた時間」に対して、割増賃金(通常の1.25倍以上)を支払うことになっています。
ここで重要なのが、「有給休暇の時間は労働時間に含まない」というルールです。(パターンA)

具体例で見てみましょう
例えば、定時が「9:00〜18:00(休憩1時間)」の会社で、午前半休(9:00〜13:00)を取得し、午後から出社したとします。
13:00 出社
18:00 定時(ここまでの実労働:5時間)
19:00 退社(定時を1時間過ぎた)
この場合、定時の18時を過ぎていますが、その日の実労働時間は「午後勤務の5時間 + 残業1時間 = 合計6時間」です。
法律の基準である「1日8時間」を超えていないため、この1時間の残業には割増賃金(1.25倍)は発生しません。
これを「法定内残業(ほうていないざんぎょう)」と呼びます。
多くの会社では、この時間分については「通常の時給(1.0倍)」が支払われるか、月給制の中に含まれる形になります。
ポイント
定時を過ぎたからといって、必ずしも「残業代=割増(1.25倍)」になるわけではありません。「その日、実際に何時間体を動かして働いたか?」が基準になります。
2. 割増賃金が発生するのは「実働8時間」を超えてから
では、半休の日に割増賃金(1.25倍)をもらうには、どれくらい働く必要があるのでしょうか?
答えはシンプルで、「実労働時間の積み上げが8時間を超えた時点」からです。
午前半休(13:00出社)のケースでシミュレーションしてみましょう。(パターンB)

ケースA:21:00まで働いた場合(休憩なしと仮定)
13:00〜21:00 = 実労働 8時間
判定: ちょうど8時間なので、すべて通常の賃金(1.0倍)。まだ割増はつきません。
ケースB:22:00まで働いた場合(休憩なしと仮定)
13:00〜22:00 = 実労働 9時間
判定: 8時間を超えた「1時間分」だけが、割増賃金(1.25倍)の対象になります。
【注意】深夜割増は別物です
もし仕事が深夜に及び、22:00以降に働いた場合は、実労働時間の長さに関わらず「深夜割増(0.25倍)」が必ず加算されます。
実働8時間以内でも、22時以降なら「通常賃金+深夜割増」
実働8時間を超えていて、かつ22時以降なら「時間外割増+深夜割増」
となります。ここは少し複雑ですが、「22時を過ぎたら絶対にお金が増える」と覚えておけばOKです。
3. 意外と見落としがち!「休憩時間」のルール
半休の日の残業で、もう一つ注意しなければならないのが「休憩時間」です。
「午後出社だし、半日だけだから休憩なしで一気に終わらせて帰ろう!」
そう思う方も多いですが、労働基準法には以下のルールがあります。(パターンC)

労働時間が 6時間を超える場合 ➡ 少なくとも 45分 の休憩が必要
労働時間が 8時間を超える場合 ➡ 少なくとも 1時間 の休憩が必要
午後出社でも「6時間」を超えたら休憩必須
例えば、13:00に出社して、残業で 19:30まで働く とします。
この場合、実労働時間は 6時間30分 となり、「6時間」を超えてしまいます。
たとえ本人が「休憩はいらないから早く帰りたい」と言っても、会社としては法律上、途中で休憩を取らせる義務があります。
NG例: 13:00〜19:30(休憩なし・ぶっ通し)
OK例: 13:00〜17:00勤務 ➡ 休憩45分 ➡ 17:45〜20:15勤務
半休の日であっても、残業が長引きそうなときは、意識して休憩を挟まないとルール違反になってしまうので注意しましょう。
4. 就業規則の確認を(会社独自のルールがある場合)
ここまで解説したのは、あくまで「労働基準法(最低限のルール)」の話です。
会社によっては、従業員にもっと有利なルールを定めている場合があります。
例えば、就業規則に以下のような記載がある場合です。
「有給休暇を取得した時間についても、通常の労働時間とみなして労働時間を計算する」
このような特約があれば、定時(18:00)を過ぎた時点からすぐに割増賃金(1.25倍)が支払われる可能性があります。
自分の会社のルールがどうなっているか、一度「就業規則」や「賃金規程」を確認してみることをおすすめします。
まとめ
半休をとった日の残業代ルール、いかがでしたでしょうか。
半休(有給)は労働時間に含まれないため、「実労働時間」で計算する。
定時を過ぎても、実働8時間を超えるまでは「割増なし(通常賃金)」のケースが多い。
午後からの勤務でも、6時間を超えて働くなら休憩が必要になる。
「定時を過ぎたのに残業代が安い!」と驚かないように、この「実働時間の仕組み」を頭の片隅に入れておいてくださいね。
