2025/11/24

お知らせ

【2026年診療報酬改定の議論開始】クリニックにメス!経営維持のための情報収集を

2026年度診療報酬改定に向けた議論が本格化する中、財務省および財政制度分科会(財政審)から、クリニック(診療所)の診療報酬に対する極めて具体的な「適正化」提案がなされました。この提案の背後には、「現役世代の保険料負担を軽減する」という国家的な強い要請があります。

今回の改定論議は、これまでの改定とは一線を画し、医療費抑制の主要ターゲットとして、クリニックの「継続的に高い利益率」が据えられています。

本記事では、財政審が提案する、かかりつけ医機能の評価、初再診料、特定疾患関連の管理料に対する具体的な見直し案を解説します。


I. なぜクリニックの診療報酬に「適正化」が求められるのか

2026年度の診療報酬改定に向けて、財務省は国民の保険料率上昇を抑制するための「歳出改革」として、継続的に高利益率を維持しているとされるクリニック(診療所)や調剤薬局に対し、報酬の「適正化」(抑制)を求めています。これは、経営が厳しい病院に財源を重点的に配分するためです。

これに対し、日本医師会は強く反論しており、無床診療所の経常利益率中央値は2.5%、最頻値は0.0-1.0%で年々悪化していると主張し、財務省のデータに基づかない「適正化」提案に不快感を示しています。

今後どのような議論になるかはわかりかねますが、心構えはした方がよろしいかと思われます。


II. かかりつけ医機能の評価と初再診料の減算

財務省は、「患者本位のかかりつけ医機能の実現」に向け、「複雑化した評価項目をできる限り簡素化する」とともに、「かかりつけ医機能の発揮を直接的かつシンプルに評価する報酬体系」とすることが重要だと述べています。

1. 外来管理加算、機能強化加算の廃止の検討

現在、「かかりつけ医機能」を評価すると説明されている加算のうち、以下の2つは廃止を軸に検討すべきと提案されています。

加算名

評価内容の概要

財務省の提案

【機能強化加算】

継続的な管理が必要な患者に対し、専門医療機関への受診要否の判断を含む質の高い診療機能の発揮を評価するもの。

廃止を軸に検討すべき。

【外来管理加算】

「計画的な医学管理」を評価する再診料の加算(丁寧な問診や詳細な身体診察などが要件)。

「廃止」または「地域包括診療料等への包括化」を行うべき。

2. 地域包括診療料は「発展的改組」へ

  • 【地域包括診療料・加算】(複数の疾患を持つ患者への全人的な医療を評価)については、廃止ではなく、「地域での医療・介護の複合ニーズを総合的に受け止め、全人的なケアを実施する医療機関を的確かつ包括的に評価するにふさわしい報酬」として、発展的改組を行うべきとされています。

  • 【認知症地域包括診療料・加算】との統合も検討が必要とされています。

3. 初診・再診料の減算提案:1号機能の有無がカギ

かかりつけ医機能報告制度に基づき、その機能を満たさない医療機関には厳しい措置が提案されています。

  • 減算対象:かかりつけ医機能報告制度上の1号機能を有しない医療機関については、初診・再診料の減算を行うべきとされています。

<参考:1号機能の要件とは> 1号機能とは、以下5項目のうち1.3.5のすべてを満たす医療機関が「かかりつけ医機能を持つ」と見なされるものです。

  1. 「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示による公表をしていること

  2. かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無

  3. 17の診療領域ごとの一次診療の対応可否の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること

  4. 一次診療を行うことができる疾患を報告していること

  5. 医療に関する患者からの相談に応じることができること(継続的な医療を要する者への継続的な相談対応を含む)


III. 特定疾患関連管理料の「厳格化」と「制限」

特定の疾患を管理する診療報酬についても、医療費適正化の観点から見直しが求められています。

1. 【特定疾患療養管理料】の制限

この管理料は頻回受診を誘発する要因となりかねないため、【特定疾患処方管理加算】等との併算定を一律で不可とすべきではないか。

また、この管理料を算定している疾患について、【生活習慣病管理料】へ移行すべき疾患がないか精査すべきとされています。

2. 【生活習慣病管理料】の厳格化

算定要件を「一般的な診療ガイドライン」に沿う形で厳格化すべきと提案されています。

具体的には、血圧のコントロール状況など患者の状態に応じて、算定可能回数の頻度を下げる等の対応を図るべきだとされています。


IV. 今できること

診療報酬改定に関しては、年明けから本格的な議論が始まるので、現在できることとできないことがあります。できることとしては以下の3点があげられます。

  1. 情報収集(アンテナを張る):
    中医協や厚労省などの最新情報をRSSリーダーや専門誌、情報交換で効率的に集め、「自分のクリニックへの影響」を常に考え、先手を打ちましょう。

  2. 簡単な試算と予測を行ってみる。:
    現在算定している加算が廃止・変更された場合の減収リスクを具体的な金額で試算し、新しい診療分野へのシフトや経営改善など、今から弱点を補強する準備を始めましょう。

  3. 「かかりつけ医機能報告」への確実な対応:
    2026年1月〜3月実施予定の「かかりつけ医機能報告」は1号報告と2号報告があり、1号報告の3項目、特に院内掲示はまだ対応していない方も多いのではないでしょうか。今のうちにきちんと掲示してかかりつけ医機能報告の際には、実施していると回答できるようにしておくことが賢明です。⇒厚労省の院内掲示例はこちら
    かかりつけ医機能報告については以前のこちらの記事を参照してください。