2024/11/21
お知らせ
産科医療補償制度の救済措置
産科医療補償制度の概要
産科医療補償制度は、出産時の医療事故による紛争の増加や産科医不足といった問題への対策として、2009年1月に設立されました。この制度は、分娩に関連した医療事故で障害が発生した患者への救済、紛争の早期解決、そして事故原因分析を通じた産科医療の質向上を目的としています。
制度の運営は公益財団法人日本医療機能評価機構が行っており、妊産婦は分娩機関に支払う分娩費用に含まれる掛金によって制度に加入します。補償対象となるのは、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺で、出生体重や在胎週数などの基準を満たし、先天性要因などが除外される必要があります。補償金額は3,000万円で、一時金と分割金で支払われます。
制度開始以降、2度にわたる見直しが行われ、補償対象基準や掛金などが変更されました。2022年1月からは、在胎週数28週以上が出産時の条件となり、個別審査は廃止されました。

個別審査廃止と特別給付事業
2022年1月の制度見直しにより個別審査が廃止されたものの、以前の個別審査で補償対象外とされた脳性麻痺児を持つ保護者から救済を求める声が上がりました。これを受け、2023年6月28日、自由民主党政務調査会において救済策が検討され、「産科医療特別給付事業の枠組みについて」が取りまとめられました。その後、厚生労働大臣は事業設計と適切な運用を指示し、2024年3月18日には日本医療機能評価機構において「産科医療特別給付事業事業設計検討委員会」が設置されました。
産科医療特別給付事業は、2022年1月以前の個別審査で補償対象外とされた児等に対して、2022年1月改定基準に相当する給付対象基準を満たす場合に、特別給付金を支給する事業です。
対象者: 2009年以降2021年末までに生まれた児で、以下の3つの要件を全て満たす者
①給付対象基準:
2009年~2014年に出生: 在胎週数28週以上33週未満、または在胎週数33週以上かつ出生体重2,000g未満(上図の水色の部分)
2015年~2021年に出生: 在胎週数28週以上32週未満、または在胎週数32週以上かつ出生体重1,400g未満(上図の薄橙色の部分)
②除外基準: 先天性要因および新生児期の要因によらない脳性麻痺であること
③重症度基準: 身体障害者障害程度等級1級または2級相当の脳性麻痺であること
給付額: 1,200万円 (一括給付)
申請期間: 2025年1月~2029年12月末
実施主体: 公益財団法人日本医療機能評価機構
財源: 産科医療補償制度の保険契約の特約に基づき返還された保険料
審査は、産科医療補償制度の審査委員会を活用し、審査結果に不服がある場合は、産科医療補償制度と同様に再審査請求(不服申し立て)を行うことができます。また、制度の仕組みを活用することで迅速な給付と事務経費の節減を目指しています。必要書類が不足している場合や監護の実態把握が必要な場合は、運営組織が申請手続きの支援や訪問調査を行います。

特別給付事業の対象者数は5年間で約1,627人と推計されており、予算額は約350億円が見込まれています。
まとめ
特別給付事業は、過去の個別審査で補償対象外とされた児への救済措置として、今回限りの事業となる可能性が高いです 。申請期間は2025年1月~2029年12月末と期限付き措置となっていますので注意が必要です。また申請窓口は分娩機関となりますので分娩医療機関はこのような制度ができたことを知っておく必要があります。
2009年から始まった制度になりますので、現在15歳くらいのお子さんまでが該当することになります。対象児に心当たりのある方はこのような制度があることを教えてあげていただければ幸いです。詳細はこちら
