2026/8/11

お知らせ

施設基準の定例報告(ハチイチ報告)|令和8年8月31日が期限。今年は郵送とメールの2通りに分かれます。


「ベースアップ評価料の報告書は準備したので、8月の厚生局対応は終わり」

そう整理されている医療機関がありましたら、もう一度ご確認をお願いします。8月末に厚生局へ提出するものは、それだけではありません。

施設基準の定例報告です(施設基準の届出状況等の報告について(保医発0701第2号))。施設基準の届出をしている保険医療機関は、毎年8月1日現在で届出書の記載事項について地方厚生局長へ報告を行うこととされています。令和8年度の提出期限は、令和8年8月31日(月)です。厚生局によっては9月1日が期限の所もあるので、ご自身の管轄厚生局のHPを確認してください。

そして今年は、例年と少し様子が違います。ベースアップ評価料と看護職員処遇改善評価料の報告書が、定例報告の様式一覧の中に並んでいます。同じ一覧に載っているのに、途中から提出方法が郵送ではなくメールに変わります。ここを取り違えると、作った書類がそのまま未提出で残ります。

この記事では、定例報告の全体像と、令和8年度につまずきやすい点を整理します。

定例報告とは、8月1日現在の状況を8月中に報告する手続きです

定例報告は、届け出ている施設基準の要件を今も満たしているかを自院で点検し、その結果を厚生局へ報告する手続きです。対象は、施設基準等の届出をしている保険医療機関、保険薬局、訪問看護ステーションです。

判定の基準日は令和8年8月1日現在です。7月末時点でも9月時点でもなく、8月1日にどうだったかで報告します。

提出先は、自院が所在する都県を管轄する厚生局の事務所です。関東信越厚生局の管内では、埼玉県のみ指導監査課が窓口となります。

項目

内容

基準日

令和8年8月1日現在

提出期限

令和8年8月31日(月)(9月1日の厚生局あり)

対象

施設基準等の届出をしている保険医療機関・保険薬局・訪問看護ステーション

提出先

所在する都県を管轄する事務所(埼玉県は指導監査課)

なお、かつては7月1日現在の状況を7月中に報告する「71報告(ナナイチ報告)」と呼ばれていましたが、現在は8月1日現在を8月中に報告する形になっています。「ハチイチ報告」と呼ばれることがあるのはこのためです。

基準日から期限までは実質1か月しかありません。しかも間にお盆が入ります。お盆明けに着手すると、動ける日数は2週間ほどになります。

今年の注意点は、書類によって提出方法が違うことです

定例報告の様式は、関東信越厚生局のページに番号付きの一覧表で並んでいます。その後ろのほうにベースアップ評価料と看護職員処遇改善評価料の報告書が入っており、そこから提出方法が変わります。

同じ表に上から順に並んでいるので、全部を1つの封筒に入れたくなります。そこが落とし穴です。

書類

提出方法

定例報告の本体(提出用表紙、施設基準の届出の確認について、実施状況報告書など)

郵送。一部の様式は電子申請も可

ベースアップ評価料の報告書

メール(Excelを添付)

看護職員処遇改善評価料 令和8年度 中間報告書

メール(Excelを添付)

看護職員処遇改善評価料 令和7年度 実績報告書

紙で提出

一覧の中で「書面により提出してください」と書かれている様式は、紙で出すという意味ですので郵送と同じ扱いです。別の提出方法だと考える必要はありません。

いちばん間違えやすいのは最後の行です。ベースアップまわりはメール、と覚えてしまうと、看護職員処遇改善評価料の令和7年度分だけが取り残されます。同じ評価料でも、令和7年度の実績報告書は紙、令和8年度の中間報告書はメールです。様式名の年度表記まで見て仕分けてください。

なお、この紙で出す実績報告書は看護職員処遇改善評価料を算定している場合の話です。同評価料は入院に関する点数ですので、無床診療所には出てきません。無床診療所は、外来・在宅ベースアップ評価料の実績報告書も中間報告書も、どちらもメール提出です。

メール提出はファイル形式やファイル名、本文の記載事項に細かい指定があり、外れると受理されません。詳しくは先日の記事『ベースアップ評価料|令和8年8月31日が提出期限。実績報告と中間報告、自院はどちらが必要か』で整理していますので、そちらをご覧ください。

電子申請は、ID・パスワードを取得済みの医療機関であれば一部の報告に利用できます。ただし全様式が対応しているわけではなく、対応していない様式は郵送になります。報告項目が少なくすべて対応している診療所なら使う価値がありますが、項目が多い病院ではどれが対応かを選別する手間が増えます。

自院の種別のページを開くところから始まります

定例報告のページは、医療機関の種別ごとに分かれています。

・病院 ・医科(有床診療所) ・医科(無床診療所) ・歯科診療所 ・薬局 ・訪問看護ステーション

様式の一覧も、提出が必要な条件も、種別によって違います。病院用のページに並んでいる様式がもっとも多く、無床診療所用は大幅に少なくなります。他の種別のページを見てしまうと、自院に不要な様式を探すことになりますので、まず自院の種別のページを開いてください。

医科と歯科を併設している医療機関は、医科のページだけでなく歯科診療所のページも確認する必要があります。医科と歯科それぞれについて自己点検を行うことになります。

各ページの一覧表には「下表に記載されていないものは、報告不要です」という趣旨の記載があります。届け出ている施設基準がいくつあっても、一覧表に載っていない基準について個別の報告書を作る必要はありません。逆にいえば、一覧表と自院の届出状況を突き合わせる作業が、定例報告の実質的な中身になります。

自院が何を届け出ているかがすぐに出てこない場合は、厚生局が公開している施設基準の届出受理状況の一覧で確認できます。年に一度、この機会に自院の届出を棚卸ししておくと、翌年以降が楽になります。

無床診療所は提出不要になることがあります。ただし自己点検は必須です

種別による違いのうち、もっとも実務に効くのがここです。

病院と有床診療所は、点検の結果にかかわらず「提出用表紙」と「施設基準の届出の確認について」の提出が必要です。要件をすべて満たしている場合は、その旨を選択して提出します。

一方、無床診療所と歯科診療所は、届け出ている施設基準の要件をすべて満たしている場合、「施設基準の届出の確認について」の提出自体が不要とされています。要件を満たしていないものがある場合に、はじめて提出することになります。

ここで誤解しやすいのは、「提出が不要」と「点検が不要」はまったく別だということです。

提出物がなくても、8月1日現在で要件を満たしているかどうかの自己点検は行う必要があります。点検した結果として提出物がなかった、というのが正しい順序です。点検せずに「うちは無床だから何もしない」と処理してしまうと、要件を欠いたまま算定を続けることになりかねません。

なお、要件をすべて満たしている無床診療所であっても、個別の報告書が必要になる項目は別にあります。情報通信機器を用いた診療、在宅療養支援診療所、予約に基づく診察などがその例です。また今年は、ベースアップ評価料を算定している無床診療所であれば、賃金改善に関する報告書がメール提出の対象になります。「提出不要」で終わらせる前に、一覧表を一度は最後まで見てください。

要件を満たしていない施設基準が見つかったら

自己点検の結果、要件を満たしていない施設基準が見つかることがあります。人員の退職や異動で人数要件を割っている、というのが典型です。

この場合の手続きは、該当する施設基準の辞退届を提出することです。病院と有床診療所は「施設基準の届出の確認について」で要件を満たしていない旨を選択し、満たしていない施設基準名を記入したうえで、辞退届を同時に提出します。無床診療所と歯科診療所も、報告用紙に施設基準名を記入し、辞退届を併せて提出します。

ここで押さえておきたいのは、要件を満たしていない施設基準については診療報酬を算定できない、という点です。厚生局のページにも明記されています。辞退届を出していないから算定してよい、ということにはなりません。

似た手続きに「変更の届出」がありますが、目的が違います。変更の届出は、人員や設備に変更があっても引き続き要件を満たしている場合の手続きです。辞退届は、要件を満たせなくなった施設基準を自ら取り下げる手続きです。要件を割っているのに変更の届出で処理しようとすると、話が噛み合いません。

なお、要件を欠いていた期間の診療報酬をどこまで遡って返還することになるのか、辞退届をいつまでに出さなければならないのかについては、厚生局のページや手引きに明確な記載を確認できていません。実際に要件を欠いていたことが分かった場合は、自己判断で処理せず、管轄の事務所へご相談ください。時期や経緯によって取扱いが変わる可能性があります。

届出が不要な施設基準こそ、この機会に点検を

定例報告の対象は、届出をしている施設基準です。ところが診療報酬の中には、届出が不要な項目も多くあります。夜間・早朝等加算などがこれにあたります。

届出が不要ということは、定例報告にも出てきません。厚生局から確認を促されることもありません。そのぶん、要件を満たさなくなっていることに気づきにくい項目です。

届出が不要でも、算定するには要件を満たしている必要があります。この点は、厚生局のページにも「届出は不要ですが、診療報酬を算定するにあたっては要件を満たしている必要があります」という趣旨で明記されています。

定例報告は年に一度、自院の算定要件を見直す機会でもあります。届出をしている基準の点検はどのみち必要ですので、そのついでに、届出不要な加算の要件も確認しておくことをおすすめします。掲示や体制が要件になっているものは、いつの間にか実態とずれていることがあります。

記載ミスで戻ってくるところは、だいたい決まっています

個別の報告書は、記載の細かいところで差し戻しになることがあります。地方厚生局が公表している定例報告の手引きでは、次のような誤りが例示されています。

  • 入院基本料等に関する実施状況報告書で、記号(A〜Dなど)で答える欄に「100%」「70%以上」といった実数値を書いてしまう

  • 体制の整備状況でチェックを入れながら、具体的な保有台数の記載を忘れる

  • 特別の療養環境の提供に係る報告書で、徴収している最小・最大金額と、金額階級ごとの病床数が食い違っている

  • 多焦点眼内レンズの報告書で、患者からの徴収額を「1眼当たり」ではなく総額で書いてしまう

  • リハビリテーション症例報告書で、1つだけ選ぶ「主な傷病」に複数の丸を付けてしまう

  • FIMやFOISの得点欄に、規定の範囲を外れた数値を書いてしまう

いずれも中身の判断を誤ったのではなく、様式の読み方を取り違えたことによる誤りです。どの様式にも記載上の注意が付いていますので、埋める前に一度お読みください。病院の様式には、片面印刷で提出するよう指定されているものもあります。

なお、これらの例示は年度や厚生局によって異なります。自院が提出する様式については、必ず管轄の地方厚生局が示している記載上の注意でご確認ください。

今年も病院機能別の一覧を作りましたので、画像をクリックしてダウンロードしてください。「施設基準の届出状況等の報告について」参照

まとめ

やることは4つです。

1つ目は、自院の種別のページを開いて、様式の一覧と自院の届出状況を突き合わせることです。一覧に載っていないものは報告不要ですので、まず該当する行だけを拾い出します。

2つ目は、8月1日現在で要件を満たしているかを点検することです。無床診療所や歯科診療所は、すべて満たしていれば提出物がなくなりますが、点検そのものは必要です。

3つ目は、提出方法を仕分けることです。書類によって郵送とメールに分かれます。ベースアップ評価料に関する報告書は、一覧には載っていても封筒には入れません。ただし看護職員処遇改善評価料の令和7年度 実績報告書だけは紙ですので、ここだけ逆になります。一度、紙で出すものとメールで送るものを書き出して整理しておくと事故が防げます。

4つ目は、要件を満たしていない基準があった場合の対応です。辞退届を併せて提出することになりますが、算定していた期間の扱いは自己判断せず、管轄の事務所へご相談ください。

期限は令和8年8月31日(月)です。郵送で提出する場合は、期限までに到着するよう余裕をもって発送してください。また、ここで挙げた内容は関東信越厚生局のページに基づくものです。厚生局によって様式や案内の仕方が異なりますので、他の管内の医療機関は、所在地を管轄する厚生局のページで最終確認をお願いします。

定例報告は、書類そのものは難しくありません。時間がかかるのは、自院が何を届け出ていて、そのうちどれが一覧に該当し、どれをどの方法で出すのかを整理するところです。基準日の8月1日は過ぎていますが、点検は今からでも間に合います。お盆明けからでは日数が足りませんので、早めに着手していただければと思います。


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