2026/8/4

お知らせ

ベースアップ評価料|令和8年8月31日が提出期限。実績報告と中間報告、自院はどちらが必要か

「今年の6月から算定を始めたばかりだから、報告はまだ先の話だろう」

もしそうお考えでしたら、一度確認をお願いします。ベースアップ評価料を届け出た医療機関は、令和8年8月31日(月)までに報告書を提出する必要があります。今年から算定を始めた医院にも、提出すべき書類があります。

一方で、逆の誤解もあります。「実績報告と中間報告は同時提出だから、両方出さなければならない」というものです。これは自院が令和7年度に算定していたかどうかで変わります。該当しない報告書まで作ろうとして、時間を無駄にしている医院も見受けられます。

この記事では、自院がどちらの報告書を出すべきかの見分け方と、提出でつまずきやすい点を整理します。

結論:算定していた期間で決まります

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先に結論をお伝えします。判定は「いつ算定していたか」だけで決まります。

算定していた期間

提出するもの

令和7年4月1日〜令和8年3月31日の間に算定していた

令和7年度 賃金改善実績報告書

令和8年6月1日〜7月31日の間に算定していた

令和8年度 賃金改善中間報告書

上の両方に当てはまる

実績報告書と中間報告書の両方

つまり、令和7年度から継続して算定している医療機関は2種類とも、令和8年6月から算定を始めた医療機関は中間報告書だけ、ということになります。

提出期限はいずれも令和8年8月31日(月)です。

なお実績報告書は保険医療機関と訪問看護ステーションが対象で、保険薬局は中間報告書のみが対象です。

実績報告と中間報告は、名前が似ているだけの別物です

この2つは目的も対象期間も様式も違います。同じ書類の一部だと思っていると、必ずどこかで詰まります。

賃金改善実績報告書は、前年度(令和7年度)に賃金改善をどう実施したかを事後的に報告するものです。1年分の実績を確定させて提出します。

賃金改善中間報告書は、今年度(令和8年度)の取組状況を年度の途中で把握するためのものです。年度末を待たずに、途中経過を報告します。

ここで間違えやすいのが、中間報告書に書く期間です。報告するのは令和8年6月分と7月分の2か月分とされています。4月から先行して賃上げを実施していた医療機関でも、4月分・5月分ではなく6月・7月の2か月分を記載することになります。関東信越厚生局が中間報告書の提出対象を「令和8年6月1日から令和8年7月31日の間に算定している医療機関」と定めているのも、これと対応しています。自院の賃上げ開始時期と報告対象期間がずれるため、先行して賃上げした医療機関ほど混乱しやすいところです。念のため、疑義解釈資料でもご確認ください。

そして様式が別々に用意されています。関東信越厚生局のホームページでは、実績報告書は「病院及び有床診療所用」と「無床診療所及び歯科診療所用」に分かれており、中間報告書は「病院及び診療所用」として別のExcelファイルが掲載されています。実績報告書には記載例のPDFも用意されています。

同じファイルの中のチェック欄を切り替えるような作りではありませんので、まず自院に必要な様式を厚生局のホームページから正しく取得するところから始めてください。

つまずくのは中身より提出方法です

報告書そのものより、提出のところで受理されずに戻ってくるケースが目立ちます。ここは要件が細かく決まっています。

提出先は都県ごとの専用メールアドレス

提出は、医療機関が所在する都県ごとに設定された専用のメールアドレス宛に、Excelファイルを添付して行います。関東信越厚生局の管内では、茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野の各県に別々のアドレスが割り当てられています。

このアドレスはベースアップ評価料の様式提出専用です。質問や意見、他の届出を送っても回答・受付はされません。問い合わせは、所在する県を管轄する事務所(埼玉県は指導監査課)宛に別途行ってください。

メールアドレスを持たない場合などは書面での提出も認められていますが、可能な限りメールで、とされています。

送れるのは厚生局掲載のExcelファイルだけです

ここが最も注意すべき点です。メールで提出できるのは、厚生労働省または各厚生局のホームページに掲載されているExcelの届出様式のみとされています。

次のようなファイルは受理されません。

  • PDFに変換したもの

  • ZIPで圧縮したもの 

  • スプレッドシートで作成したもの 

  • 独自に作成、あるいは加工したExcel 

  • パスワードを付けたExcel 

  • OneDrive等の共有リンクによる送付

最後の共有リンクについては、医療機関のシステムの仕様で自動的に共有リンクになってしまう場合も含めて受理できないと明記されています。添付したつもりがリンクになっていた、という事故が起きやすいところですので、送信前に一度ご確認ください。

これらに該当してしまった場合は、紙に印刷して郵送することになります。期限直前に気づくと間に合いませんので、送信方法は早めに確認しておいてください。

ファイル名とメール本文にも指定があります

添付するExcelのファイル名には、医療機関コードと提出内容を記載します。厚生局が示している例は次のとおりです。

  • 9999999_ベースアップ評価料R7実績報告及びR8中間報告.xlsx

  • 9999999_ベースアップ評価料R8中間報告.xlsx

またメール本文には、必ず医療機関名と連絡先を記載してください。ファイル名だけでは医療機関を特定しづらいためです。

こうした指定は形式的に見えますが、専用アドレスに大量のメールが届く仕組みである以上、整っていないものは処理が滞ります。指定どおりに揃えることが、結果として自院の手戻りを防ぎます。

看護職員処遇改善評価料も届け出ている場合

看護職員処遇改善評価料についても届出を行っている医療機関は、提出のルールが分かれます。ここを取り違えると受理されません。

関東信越厚生局は、ベースアップ評価料とは別に「看護職員処遇改善評価料に係る賃金改善実績報告書及び賃金改善中間報告書の提出について」というページを設けています。そこでの取扱いは次のとおりです。

報告書

提出方法

令和7年度 賃金改善実績報告書(様式93の3)

書面による提出(郵送)

令和8年度 賃金改善中間報告書

メール(Excelファイル)

つまり、看護職員処遇改善評価料の実績報告書だけは、メールではなく紙で出すことになります。ベースアップ評価料のほうは実績報告書も中間報告書もメールですので、同じ8月に出す4種類の書類のうち、この1つだけが書面という形です。

「今年はすべてメールでよい」と思い込んで送ってしまうと、この1通が未提出のまま残ります。提出先は保険医療機関の所在地を管轄する事務所(埼玉県は指導監査課)です。

一方で、中間報告書についてはまとめ方の指定があります。ベースアップ評価料の賃金改善中間報告書と、看護職員処遇改善評価料の賃金改善中間報告書は、あわせて1ファイルにまとめ、1通のメールで送付することとされています。別々のメールで送ってしまいがちなところですので、送信前にご確認ください。

このときのファイル名の例も示されています。

・9999999_ベースアップ評価料及び看護職員処遇改善評価料_中間報告R8.xlsx

なお、この取扱いは地方厚生局によって案内の仕方が異なります。中間報告書をまとめることを「〜してください」と求めている局もあれば、「併せて提出いただいても差し支えございません」と任意の扱いにしている局もあります。上記は関東信越厚生局の案内に基づくものですので、他の管内の医療機関は、所在地を管轄する厚生局のページで最終確認をお願いします。

賃金改善額の数え方で迷いやすいところ

報告書の作成で時間を取られるのは、賃金改善額をどこまで含めるかの判断です。

基本的な考え方は、基本給や毎月決まって支払われる手当の引上げ額に加えて、それに連動して増えた賞与、時間外手当、法定福利費の事業主負担分などの増加分も合わせて賃金改善額とする、というものです。ベースアップによって間接的に増えた人件費も含めて数える、と理解していただくと近いかと思います。

実務では、次のような点で判断に迷うことが多いようです。

  • 通勤手当や、恒常的な夜間・交代制勤務における夜勤手当をどう扱うか

  • 業績に連動する賞与を含めてよいか ・法定福利費の増加分を概算で計算する際の掛け方

  • 派遣職員の賃金改善に伴って増える消費税分の扱い

  • 継続的な賃上げの取組に係る評価の点数分を、収入の実績額に含めるかどうか

これらは疑義解釈資料の中で示されているものがあります。関東信越厚生局のホームページには、令和8年3月23日の事務連絡(その1)から令和8年7月30日の事務連絡(その11)まで、ベースアップ評価料に関する抜粋が掲載されています。自院の判断に迷う項目があれば、まずこちらをご確認ください。

判断を誤ったまま提出すると、後から差し替えを求められることになります。金額の大小より、考え方の筋が通っているかどうかが問われる部分です。

報告を出さないとどうなるか

報告書を提出しない場合、あるいはベースアップ評価料で得た収入を賃金改善に充てていない場合は、施設基準を満たさないことになります。

ベースアップ評価料は、賃上げに使うことを条件に支払われている点数です。報告はその使い道を示す手続きであって、おまけの事務作業ではありません。ここが抜けると、算定そのものの前提が崩れます。

なお、令和8年度改定では賃上げの実施状況が他の点数の算定にも影響する仕組みが設けられています。自院がどこまで関係するかは、施設基準の通知でご確認いただくのが確実です。

まとめ

やることは3つです。

1つ目は、自院がどちらの報告書を出すべきかを確定させることです。令和7年4月から令和8年3月の間に算定していたなら実績報告書、令和8年6月から7月の間に算定していたなら中間報告書、両方に当てはまるなら両方です。

2つ目は、厚生局のホームページから正しい様式のExcelを取得することです。実績報告書と中間報告書は別ファイルですし、実績報告書は病院・有床診療所用と無床診療所・歯科診療所用に分かれています。

3つ目は、提出方法を先に確認しておくことです。専用アドレス、Excelのまま添付、ファイル名に医療機関コード、本文に医療機関名と連絡先。この4点が揃っていないと受理されません。看護職員処遇改善評価料も届け出ている医療機関は、令和7年度の実績報告書だけが書面提出である点にもご注意ください。

期限は令和8年8月31日(月)です。書類そのものは、日々の賃金台帳と支給実績が整っていれば作れます。むしろ時間がかかるのは、対象職員の範囲や手当の扱いをどう整理するかという判断のほうです。月末に着手して間に合わなかった、という事態を避けるため、早めに手を付けていただければと思います。

ベースアップ評価料は、賃上げの原資として制度が用意したものです。せっかく算定していながら報告で要件を落とすのは、あまりにもったいない話です。報告書の作成に迷われている医療機関、あるいは作成したものを提出前に点検してほしいという医療機関は、こちらまでお問い合わせください。個別に対応いたします。


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