2025/6/10
お知らせ
育休問題、放置していませんか?医療機関が知っておくべき助成金活用術
1. はじめに
この助成金は雇用関係助成金の両立支援等助成金であり、雇用保険加入の中小事業主(※)が対象となります。また国や地方公共団体、独立行政法人は助成金の対象にはなりません。該当する医療機関の方は興味のある方だけ、ご覧ください。
※中小事業主(医療・福祉はサービス業になります。)

育児休業は、労働者が子育てに専念するために重要な制度であり、労働者の権利として保障されています。しかし、医療機関においては、人員配置の制約から育児休業取得がためらわれたり、育休取得者の業務を他の従業員が負担することで職場全体の負担が増加したりするといった現状が見られます。このような状況を改善し、従業員が安心して育児休業を取得できる職場環境を整備するために、厚生労働省は令和6年1月より「育休中等業務代替支援コース」という助成金制度を設けています。このコースの概要、医療機関における育休取得の現状、コースを活用するメリット、具体的な活用方法などを解説し、医療機関が育休中等業務代替支援コースを通じて職場環境を改善するための具体的な道筋を示します。
2. 医療機関における育休取得の現状
医療機関における育休取得率は、働き方改革により以前ほどではないにしても、医師や看護師などの専門職は、業務の専門性や人員配置の都合上、育児休業を取得しにくい現状があるかもしれません。
育休取得は、従業員にとっては仕事と育児の両立を可能にする重要な機会ですが、職場にとっては一時的な人員不足や業務負担の増加といった影響を与える可能性があります。特にクリニックにおいては、少数のスタッフで運営しているため、人員不足は深刻な問題につながりかねません。
3. 育休中等業務代替支援コースとは
「育休中等業務代替支援コース」は、労働者の育児休業や時短勤務期間中の業務を代替する労働者を確保した事業主に対して、助成金を支給する制度です。 このコースは、育児休業を取得しやすい職場環境の整備を目的としています。
次の3つのケースに支給されます。
育児休業取得者の業務代替者に手当等を支給した場合
育児短時間勤務制度利用者の業務代替者に手当等を支給した場合
育児休業取得者の業務を代替する労働者を新規に雇用した場合(派遣の受け入れを含みます。)
このコースは、令和6年1月1日以降に開始する育児休業が対象となります。
わかりやすく言うと、スタッフが育休や育児短時間勤務を取った場合に、今いる他のスタッフが業務の穴埋めをした場合に手当を支給したり、替わりのスタッフを採用した場合に申請できる助成金ということになります。
4. 育休中等業務代替支援コースの支給額

助成金の支給額は、以上の表のように、対象育児休業取得者1人あたり、代替要員の確保方法や業務代替期間に応じて算定されます。 育児休業取得者が有期雇用労働者である場合には、一定の要件を満たすと支給額が加算されます。
5. 支給要件と手続きの流れ
支給要件
育休中等業務代替支援コースの支給要件は就業規則の整備や一般事業主行動計画の作成・届出などが必要です。こちらから以下の一覧表PDFファイルがダウンロードできます。

必要書類
申請には以下の書類が必要となります。
必要書類支給申請書
支給要件確認申立書
労働協約または就業規則、関連する労使協定(育児休業制度、育児のための短時間勤務制度が確認できる部分)
育児休業取得者の育児休業申出書
育児休業取得者の労働条件通知書
育児休業取得者の出勤簿またはタイムカード(休業前1か月分、育休期間分、復帰後3か月分)
育児休業取得者の賃金台帳(休業前1か月分、育休期間分、復帰後3か月分)
代替要員の労働条件通知書
代替要員のタイムカード、賃金台帳(業務代替期間を含むもの)
業務代替手当などを規定した労働協約、就業規則
申請手続きの流れや助成金の具体的な支給額、必要書類の詳細については、厚生労働省・都道府県労働局がこちらの「育休中等業務代替支援コース支給申請の手引き」に詳しく記載されています。
6.メリットと問題点
メリット
職場環境の改善: 代替要員の確保や業務代替手当の支給により、育休取得者の業務負担が他の従業員に集中することを防ぎ、職場全体の負担を軽減できます。 これにより、従業員が安心して育児休業を取得できる環境が整い、職場環境の改善につながります。
業務の継続性確保: 代替要員を確保することで、育休取得者の不在による業務の停滞を防ぎ、質の高い医療サービスの継続的な提供が可能になります。
企業イメージの向上: 従業員の育児を支援する企業としてのイメージ向上は、求職者にとって魅力的な職場となり、新たな人材の確保にもつながります。また、社会的な評価の向上にも貢献します。
問題点
育休等が終わってからの申請となる:どの助成金にも言えることですが、対象の期間が終了してからの申請になるため、育休中の期間は、自分たちで負担する必要があります。
手続きの煩雑さ: こちらもどの助成金にも言えることですが申請書類の多さや支給要件の煩雑さが問題となってきます。
他スタッフの負担: 手当をもらえるといっても他のスタッフの負担が減るわけではなく、代替スタッフを採用した場合も教育が必要となります。
7. まとめ
育休中等業務代替支援コースは、医療機関が従業員の育児休業を支援し、より働きやすい職場環境を実現するための有効な手段となります。 このコースを活用することで、人員配置の課題を克服し、従業員の満足度向上、離職率の低下、そして質の高い医療サービスの継続に貢献することが期待できます。
医療機関におかれては、この機会に育休中等業務代替支援コースの活用を検討し、すべての従業員が安心して働き続けられる職場環境の整備に向けて積極的に取り組んでいただくことをお勧めします。
8. お問い合わせ情報
育休中等業務代替支援コースに関する申請手続きや支給要件の詳細については、管轄の都道府県労働局にお問い合わせください(申請の手引きの最終ページに、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の一覧があります)。
また、助成金申請に関する専門的な相談については、社会保険労務士などの専門家にご相談いただくことをお勧めします。
