2026/5/19
お知らせ
令和8年改定で「外来データ提出加算」が大きく変わる|届出の取り直しと算定ルールの変更を今すぐ確認
作成日: 2026-05-18
「うちのクリニック、外来データ提出加算をずっと算定しているけど、令和8年の改定で何か変わりましたか?」
そんな問い合わせを、診療所や病院の方からいただくことが増えています。
令和8年4月の診療報酬改定で、外来データ提出加算の制度は大きく再編されました。旧来の加算名称が廃止され、新しい2種類の加算に分離・再構築されています。「これまでと同じ届出のまま算定を続けている」場合、取り直しが必要なケースがあります。この記事では、改定の全体像と実務上の注意点を整理します。

そもそも外来データ提出加算とは
外来データ提出加算は、外来患者の診療情報データを継続的に国(厚生労働省)へ提出することを評価する加算です。外来医療の実態把握や政策立案、医療の質向上を目的としており、近年の改定で段階的に整備されてきた制度が、令和8年改定で大規模に再編されました。
算定を始めるには、年4回(5月20日・8月20日・11月20日・2月下旬)のいずれかの期限までに「様式7の10(外来データ提出開始届出書)」を地方厚生局経由で届け出る必要があります。試行データ提出が問題なければ「様式7の11(算定開始届出書)」を提出して初めて算定できる、という2段階の手続きが必要です。なお、実際のデータ(本データ)のオンライン提出期限は届出期限とは別に設定されており、原則として7月末・10月末・1月末・4月末ごろが期限となります。
令和8年改定で何が変わったのか
令和8年4月改定で、旧・外来データ提出加算(50点)から、以下の4つの加算が並立する構造に再編されました。
名称 | 点数 | 対象機関 |
|---|---|---|
外来データ提出加算(令和8年新設) | 10点 | 診療所および200床未満の病院(地域包括診療加算・地域包括診療料算定機関) |
充実管理加算(旧・外来データ提出加算を改称) | 加算1: 30点、加算2: 20点、加算3: 10点 | 診療所および200床未満の病院(生活習慣病管理料算定機関) |
在宅データ提出加算(存続) | 50点(据え置き) | 在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料算定機関 |
リハビリテーションデータ提出加算(存続) | 50点(据え置き) | リハビリ実施機関 |
※地域包括診療加算・地域包括診療料は、複数の慢性疾患を持つ患者に対して継続的・総合的な管理を行う「かかりつけ医機能」を担う医療機関が算定できる評価です。新設の外来データ提出加算(10点)はこうした機関を対象としており、単に再診料を算定しているだけの医療機関は対象となりません。
主な変更点は3つです。
1つ目は、地域包括診療加算・地域包括診療料を算定するかかりつけ医機能を担う機関向けに「外来データ提出加算(10点)」が新設されたこと。
2つ目は、旧・外来データ提出加算(50点)が廃止され「充実管理加算」(最大30点)に降点・再編されたこと。
3つ目は、FF1(外来様式1)から詳細な検査数値など多数の項目が削除されデータ作成が簡素化された一方、新たに「要介護度」「認知症情報」「特定健診の受診有無・受診日」などの項目が追加されたことです。入力項目数はおよそ70項目から約35項目へと半減しており、点数が引き下げられた分、実務上の作業負担は大きく軽くなっています。
充実管理加算は加算1・2・3の段階評価が導入され、単なるデータ提出ではなく「管理の質」が問われる仕組みに転換しました。
実務上の注意点
令和8年改定に伴い、算定担当者が特に意識すべき点を整理します。
旧届出機関には大きな先行者メリットがある。令和8年3月31日時点で旧・外来データ提出加算の届出を行っていた医療機関は、経過措置として自動的に「充実管理加算1(30点)」の実績要件を満たすものとみなされます。今から新規に届出を行う場合は加算3(10点)からスタートとなるため、旧届出機関が持つアドバンテージは非常に大きいと言えます。
充実管理加算の区分は相対評価である。加算1(30点)は全届出機関の上位20%、加算2(20点)は上位50%、加算3(10点)はそれ以外という相対評価で区分が決まります。「届出さえすれば加算1で算定できる」という思い込みは算定誤りの原因になります。評価期間は直前12ヶ月のデータで、原則年1回評価されます(新規届出機関への配慮として、年2回実績集計される機会が設けられています)。
様式7の11の提出が完了するまで算定できない。様式7の10(開始届出)の提出だけでは算定資格は発生しません。試行データ提出後に様式7の11(算定開始届出)の提出が完了して初めて算定可能になります。
本データの提出期限の管理を徹底する。本データのオンライン提出期限(7月末・10月末・1月末・4月末ごろ)を累積3回遅延すると算定資格を失います。届出の期限(様式7の10の5月20日等)と混同しないよう、院内の提出フロー・担当者を明確にしておく必要があります。
FF1の新設項目への対応体制を整える。令和8年改定でFF1は多数の検査数値項目が削除された一方、「要介護度」「認知症情報」「特定健診の受診有無・受診日」などが新たに追加されました。これらは問診や他部署との連携で収集する必要があり、院内フローの見直しが必要です。電子カルテへの入力漏れがデータ提出エラーの直接原因になるため、残存・追加項目ともに漏れなく記録できる体制を整えてください。
こんな医療機関は特に注意が必要です
以下に当てはまる場合は、今すぐ算定状況の確認をお勧めします。
旧・外来データ提出加算(50点)を算定していた診療所・病院
生活習慣病管理料(I)または(II)を算定している診療所・病院
令和8年3月以前の届出のまま変更手続きをしていない機関
リハビリテーションを実施しており、FIM・バーセルインデックスを月1回(リハビリ計画書更新のタイミングで測定・記録するのが実務上の標準)データ提出に含める機関
旧加算を算定していた機関の多くは、何らかの形で届出・算定要件の確認が必要になります。「うちはどうなるのか」を早期に整理することが、算定漏れや誤請求の防止につながります。
まとめ
令和8年4月改定で、旧・外来データ提出加算(50点)は廃止され、充実管理加算(最大30点)と外来データ提出加算・新(10点)に再編されました。届出の取り直しが必要なケース、充実管理加算1の相対評価の仕組み、様式7の11の提出が完了するまで算定できないルールの3点が、実務上特に誤りが起きやすいポイントです。
制度名称が変わると「以前から算定しているから大丈夫」という思い込みが生まれやすくなります。改定のタイミングで一度、届出の状況と算定要件を確認することをお勧めします。
当事務所では、診療報酬の算定要件の確認・届出手続きのサポートについて無料相談を承っています。「うちのクリニックはどう対応すればよいか」という場合は、お気軽にお問い合わせください。
