2026/7/14
お知らせ
電子的診療情報連携体制整備加算|加算1・2・3のどれで届け出ればいいの?(加算2を算定するには?)
「新しい医療DXの加算、加算1・加算2・加算3のどれで届け出ればいいのか分からない」
令和8年6月から始まった電子的診療情報連携体制整備加算をめぐって、いま医療機関からいちばん多く寄せられているのがこの相談です。小児科や耳鼻科など初診割合の多いクリニックは特に、点数の高い加算1を狙いたいけれど要件を満たせるか不安、かといって加算3では物足りない。
この記事では、3つの区分の違いと、自院がどれで届け出るべきかの現実的な考え方を整理します。最後に加算2を算定する方法もご案内します。
結論:まず加算3を確実に、加算2以上は移行計画で
先に結論からお伝えします。最初にやるべきは、加算3の基本要件を満たせるかの確認です。基本要件を満たせなければ加算1も加算2も算定できないため、ここが全区分の土台になります。そのうえで、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービス、地域医療情報連携ネットワークの状況を見て、加算2以上を狙う計画を立てる。この順番が、迷わず・取りこぼさず進めるコツです。
この加算は令和8年6月に一本化された
令和8年度改定で、これまでの「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」は令和8年5月31日で廃止され、令和8年6月1日から電子的診療情報連携体制整備加算に統合・再編されました。
注意したいのは、旧加算から自動では切り替わらないことです。旧制度を届け出ていた医療機関でも、新加算を算定するにはどの区分であっても改めて届出が必要です。まず「自院がすでに届出済みか」を確認してください。
3つの区分は「対応している体制の数」で決まる
区分の分かれ目は、基本要件に加えて、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスなどの体制にいくつ対応しているかです。
区分 | 初診 | 再診 | 必要な体制のイメージ |
|---|---|---|---|
加算1 | 15点(月1回) | 2点(月1回) | 基本要件+電子処方箋+電子カルテ情報共有サービス(診療情報共有体制)をすべて |
加算2 | 9点(月1回) | 2点(月1回) | 基本要件+上位要件のいずれか一つ |
加算3 | 4点(月1回) | 2点(月1回) | 基本要件のみ |
再診はどの区分でも月1回2点で共通です。差がつくのは初診で、体制が手厚いほど高くなります。入院医療機関には別に入院初日の加算(A207-5)もありますが、本記事は医科外来を対象にしています。
全区分で必要な「基本要件」
加算3であっても、次の基本要件はそろえる必要があります。レセプトの電子請求を行っていること、明細書を原則無償で交付していること、オンライン資格確認を行う体制があること、診察室等で取得した診療情報を閲覧・活用できること、マイナ保険証の利用について一定以上の実績があること、医療DX推進の体制を院内掲示していること、掲示事項を原則ホームページにも掲載していること、などです。
ここで閲覧できる診療情報は、電子請求された診療報酬明細書(レセプト)のデータをもとにしているため、反映までにタイムラグがあり、直近およそ1か月分の投薬・診療内容までは見られない点に留意が必要です。
加算2を狙うときの現実的な選択肢
加算2は、上位要件のいずれか一つを満たせば届け出られます。候補は主に三つです。
一つ目は電子処方箋です。従来から準備を進めてきた診療所では、これが現実的な一手になります。二つ目は電子カルテ情報共有サービスですが、令和8年6月時点では運用開始の申請が一部のモデル事業医療機関に限定されており、対応できる時期は使用中の電子カルテ製品に左右されます。三つ目が地域医療情報連携ネットワークで、すでに地域連携の基盤に参加している医療機関にとっては加算2の有力な選択肢です。地域ネットワークを根拠にする場合は、実際の情報閲覧・共有の頻度や、実績のある医療機関名の掲示・更新といった運用面の要件も確認が必要です。
この三つに共通するのは、直近の診療情報を閲覧できるようになる点です。導入には費用がかかりますが、補助金等も活用しながら前向きに取り込んでいきたいところです。
自院はどの区分を狙うべきか
判定は、加算3から逆算すると迷いにくくなります。
まず、基本要件を満たしているかを確認します。満たしていれば加算3の候補です。次に、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス・地域医療情報連携ネットワークのいずれか一つを満たせるかを確認します。満たせれば加算2の候補です。最後に、電子処方箋と電子カルテの要件・診療情報共有体制のすべてを満たせるかを確認し、満たせれば加算1の候補になります。
現実には、一般的な無床診療所では加算3を確実な入口にしやすく、電子処方箋を導入済みなら加算2が狙えます。加算1は電子カルテ製品の対応状況がボトルネックになりやすく、自院の努力だけでは進まない場合があります。上位を目指すなら、電子カルテベンダーに「当院が加算1を目指す場合、いま未達の要件はどれか」と早めに確認するのが近道です。
収益の目安と、見落としやすい落とし穴
点数自体は大きくありませんが、再診2点が月1回積み上がるため、再診の多い医療機関ほど効いてきます。1点10円・算定漏れなし・導入コストを含まない前提で、初診50件/月・再診450件/月(初診加算を算定した月を除く)とした場合の年額の目安は次のとおりです。
区分 | 年額の目安 |
|---|---|
加算1 | 約198,000円 |
加算2 | 約162,000円 |
加算3 | 約132,000円 |
ただし、試算をそのまま鵜呑みにしないための注意点が二つあります。
一つは、明細書発行体制等加算(再診ごとに1点)が併算定できなくなることです。従来これを算定していた場合、再診で月に複数回来院する患者では、失う1点×回数のほうが、新たに得る2点(月1回)を上回ることもあります。再診分の増収は、見た目ほど大きくならない場合がある点に注意してください。もう一つは、同じ月に初診でこの加算を算定した患者について、再診の2点を重ねて算定できないことです(疑義解釈資料その4)。自院の患者構成で、受付件数とレセプト件数を分けて試算することをお勧めします。
届出でつまずかないために
届出は、様式の記入より前に「どの区分で出すか」を確定させることが先決です。使用する様式は様式1の6と別添7で、提出先は所在地を管轄する地方厚生局です。令和8年6月1日から算定する場合の届出は5月上旬から6月1日必着でしたので、これから始める場合は所管厚生局の最新案内を確認してください。
実務でとくに漏れやすいのが、システム対応よりもむしろ院内掲示とホームページ掲載です。掲示とWeb掲載は内容をそろえ、電子処方箋や地域ネットワークを根拠にする場合は、実態に合う表現だけを載せてください。あわせて、レセコンの請求コードと届出区分を一致させること、再診2点を月1回で自動算定する設定にすること、明細書発行体制等加算の重複を止める設定にすることも、算定開始前に確認しておきましょう。
まとめ
電子的診療情報連携体制整備加算は、まず加算3の基本要件を固め、電子処方箋・電子カルテ情報共有サービス・地域医療情報連携ネットワークの状況を見ながら、加算2以上へ段階的に上げていくのが現実的です。
その背景にあるのは、単独で完結する診療から「連携型医療」への転換です。評価されるのは個別機能の有無ではなく、それらを組み合わせて診療情報をやり取りできる体制が整っているか、全国医療情報プラットフォームの中核である電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスを実際に使える状態にあるか、という点にあります。
厚生労働省が医療DXに重きを置いているのは明らかで、今回の改定でも、クリニックではなかなか進みにくい電子処方箋の導入にいち早く取り組んでいた医療機関ほど恩恵を受けました。電子カルテ情報共有サービスや標準型電子カルテなど、国が推し進める仕組みは今後も続きます。こうした制度に前向きに取り組んでいくことは、単なる事務的な対応にとどまらず、これからのクリニック経営を守り伸ばすための一手として必要になっていくはずです。
電子的診療情報連携体制整備加算1を届出している医療機関を厚生局HPの施設基準等の届出受理状況を確認したところ、東京の医療機関は結構届出しているところが多かったです(山梨は0)。加算1はともかく、加算2は電子カルテ導入している医療機関なら算定ができると考えています。
もし現在、加算3を算定している医療機関はこちらまでお問い合わせいただければ個別に対応いたします。

