2026/7/27

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機能強化加算|令和8年度改定でBCP策定が必須に。経過措置は令和9年5月31日まで

作成日: 2026-07-27


「機能強化加算は前からずっと算定しているから、今回の改定は関係ない」

もしそうお考えでしたら、一度だけ確認をお願いします。令和8年度改定で機能強化加算の施設基準に業務継続計画(BCP)の策定が追加されました。すでに届け出ている医療機関には経過措置が設けられていますが、その期限は令和9年5月31日です。

期限までにBCPを策定できなければ、翌日から機能強化加算は算定できなくなります。初診料に上乗せしている80点が、そのまま消えることになります。

この記事では、機能強化加算の改定内容と、いま何から手を付けるべきかを整理します。

結論:算定中の医院はBCP、これから取る医院は前提の届出から

先に結論をお伝えします。

すでに機能強化加算を算定している医療機関は、令和9年5月31日までにBCPを策定してください。逆に言えば、まだ1年近く時間があります。慌てる必要はありませんが、着手を忘れると期限直前に困ります。

これから機能強化加算の届出を考えている医療機関は、BCPありきで届出をする必要がありますが、BCPよりも先に確認すべきものがあります。機能強化加算は単独では届け出られず、前提となる届出があるためです。ここを飛ばして進めることはできません。

機能強化加算とはどういう加算か

機能強化加算は、かかりつけ医機能を持つ医療機関を評価する加算で、初診料に80点を上乗せします。令和8年度改定でも点数は80点で変更ありません。

対象となるのは、診療所または許可病床数200床未満の病院です。初診のたびに算定できるため、新患の多い医療機関ほど効いてきます。

再診ではなく初診への上乗せである点が特徴で、小児科や耳鼻咽喉科のように新規の患者が継続的に来る診療科とは相性がよい加算です。

前提となる届出(ここが最初の関門)

機能強化加算は、次のいずれかを届け出ていることが前提です。自院がどれに当てはまりそうか、大まかな目安とあわせて整理します。

前提となる届出

どういう医院が対象か

地域包括診療加算1または2

診療所で、生活習慣病や認知症の患者を継続して診ている内科など

地域包括診療料1または2

上と同じ診療内容で、診療所または許可病床200床未満の病院

小児かかりつけ診療料1または2

小児科で、時間外の連絡対応をしている医院

在宅時医学総合管理料

在宅療養支援診療所・病院で、在宅患者を訪問診療している医院

施設入居時等医学総合管理料

上と同じで、訪問先が施設(老人ホーム等)の医院

これから機能強化加算を目指す場合、実質的な作業はこの前提の届出を取ることです。機能強化加算そのものの体制整備よりも、こちらのほうが時間と労力がかかります。

地域包括診療は「加算」と「料」で対象が違う

まず押さえていただきたいのが、地域包括診療の加算と料では、算定できる医療機関が違うという点です。

地域包括診療加算は診療所のみで、病院は算定できません。一方、地域包括診療料は診療所のほか許可病床200床未満の病院も算定できます。加算は基本診療料、料は特掲診療料で、そもそも通知が別立てになっているため混同しやすいところです。

やっている診療内容はどちらも同じで、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病、認知症といった疾患を持つ患者を、かかりつけとして継続的に診るというものです。違いは点数の性質と体制の重さで、加算は再診料への上乗せ、料は月1回の包括点数になります。料は常勤医師数などの基準も重くなるため、一般的な無床診療所では加算を選ぶのが現実的です。

往診をしていなくても対象になる場合があります

在宅医療をしていないから無理だろう、と思われるかもしれません。地域包括診療加算については、必ずしもそうではありません。

加算1には外来から訪問診療への移行実績が求められますが、加算2にはこの実績要件がありません。届出にあたって訪問診療の実績人数を記入する欄もない扱いです。ただし加算2でも、在宅医療の提供と、その患者に対する24時間の連絡体制の確保そのものは求められます。実績がゼロでも、必要が生じたときに対応できる体制は整えておく必要があるとご理解ください。

時間外の対応には選択肢があります

かかりつけ医機能の届出というと、時間外対応加算を取らなければならないと思われがちですが、地域包括診療加算では次のいずれか一つを満たせばよいとされています。

・時間外対応体制加算1、2、3または4の届出を行っていること ・常勤換算2名以上(医療資源の少ない地域では1.4人以上)の医師が配置されており、うち1名以上が常勤であること ・在宅療養支援診療所であること

医師が2名以上いる診療所であれば、二つ目の要件で満たせることになります。時間外対応体制加算を届け出ていなくても、この項目はクリアできるわけです。逆に医師が一人の診療所では、時間外対応体制加算を届け出るか、在宅療養支援診療所になるかという判断になります。

なお小児かかりつけ診療料の場合は、診療料1なら時間外対応体制加算1または3、診療料2なら2または4の届出が必要です。診療料2には、在宅当番医制等による初期小児救急に年6回以上参加し、時間外は#8000等を案内する体制を整えるという代替の道もありますが、こちらは継続的に救急当番へ出ることが前提になります。

こうして並べてみると、いずれの入口から入っても、時間外や緊急時に患者から連絡が取れる体制が問われていることが分かります。書類を整えれば済む話ではなく、院内の運営体制を決める判断を伴うため、点数の話より先に院内で詰めておくべき論点です。

令和8年度改定で変わった3つの点

1. 業務継続計画(BCP)の策定が施設基準に追加

災害等が発生した場合にも医療の提供を継続するための計画を策定し、定期的に見直すことが求められます。

すでに届け出ている医療機関には経過措置があり、令和9年5月31日まではBCPを策定していなくても要件を満たしているものとして扱われます。一方、これから新規に届け出る場合は、届出の時点でBCPが必要です。経過措置は既存の届出医療機関に向けたものである点にご注意ください。

なお、経過措置の対象となる基準日の細かい取扱いについては、所管の地方厚生局の案内でご確認ください。

2. 期限付き指定を受けた診療所は対象外に

健康保険法第68条の2により3年以内の期限を付して指定を受けた診療所は、機能強化加算の対象から除かれました。外来医師が多い区域で、都道府県の要請に応じなかった医療機関を想定した規定です。

該当する医療機関は限られますが、新規開業で指定を受けた際の条件を一度確認しておくと安心です。

3. 外来データ提出加算の届出が望ましいとされた

外来データ提出加算の届出が望ましいと明記されました。現時点では努力義務であり、届出がなくても機能強化加算は算定できます。

ただ、こうした「望ましい」要件は、次回以降の改定で必須化される流れをたどることが少なくありません。将来を見据えるなら、早めに検討しておく価値はあります。

BCPは何を作ればよいのか

BCPと聞くと大がかりな計画書を想像されるかもしれませんが、求められているのは災害等が起きても診療を続けるための計画です。

考える順序としては、まず自院にとって何が止まると診療が続けられないのかを洗い出します。電気、水、通信、電子カルテ、医薬品、そして人員です。次に、それぞれが止まったときに誰が何をするのかを決めます。連絡網、優先して継続する診療、患者への周知方法などです。

重要なのは、策定して終わりにしないことです。施設基準では定期的な見直しも求められています。作った計画を年に一度は点検し、記録を残しておく運用まで含めて整えてください。

介護施設ではBCPの策定が義務化され、実地指導でも確認される項目になっています。医療機関でも同じ流れが来たとご理解いただくのが早いかもしれません。

見落としやすいのは掲示と書面の交付

改定の話題はBCPに集まりがちですが、実務で指摘を受けやすいのは以前からある情報提供の要件です。

機能強化加算では、かかりつけ医機能として次の5項目の対応を行っている旨を、患者に情報提供する必要があります。

・患者が受診している他の医療機関や処方されている医薬品を把握し、服薬管理を行うこと ・専門医または専門医療機関への紹介を行うこと ・健康管理に関する相談に応じること ・保健・福祉サービスに関する相談に応じること ・診療時間外を含む緊急時の対応方法等について情報を提供すること

そして、この情報提供の方法が三つ求められている点に注意が必要です。

一つ目は、院内の見やすい場所に掲示すること。二つ目は、自ら管理するホームページ等のウェブサイトにも掲載すること(自院のサイトを持っていない場合は除きます)。三つ目は、掲示している内容を記載した文書を院内の見やすい場所に置き、患者が自由に持ち帰れるようにしておくことです。

院内掲示は用意したがホームページには載せていない、あるいは文書はあるが受付の奥にしまってあって患者が自由に取れない、というケースが見受けられます。三つのうち一つでも欠けていれば要件を満たしません。掲示内容とウェブサイトの記載、そして配布文書の内容がずれていないかも含めて、一度点検してみてください。

このほか、医療機能情報提供制度に関する案内など、細部の要件は施設基準の通知に定められています。届出の前に原文をご確認ください。

まとめ

機能強化加算は初診料に80点を上乗せする加算で、点数そのものは令和8年度改定でも変わっていません。変わったのは、その80点を維持するための条件です。

すでに算定している医療機関にとって、今回の改定は増収の機会ではなく、いま得ている収入を守るための宿題として現れました。令和9年5月31日という期限は、意識していなければあっという間に来ます。BCPは一日で作れるものではありませんし、作ったあとに院内で共有し、見直す運用まで根づかせる時間も要ります。

そしてこれから機能強化加算を目指す医療機関にとっては、前提となる届出をどう組み立てるかが本題になります。地域包括診療加算にせよ小児かかりつけ診療料にせよ、届出は書類を整えれば済む話ではなく、時間外の対応体制をどうするかといった、医院の運営そのものを決める判断を伴います。加算を取ることが目的化すると、あとから体制が回らなくなります。

かかりつけ医機能を評価するという方向性は、国が一貫して強めてきたものです。地域のなかで自院がどういう役割を担うのかを決め、それを体制として形にした医療機関が評価される。機能強化加算の要件が年々具体的になっているのは、その表れだと考えています。

BCPの策定も、届出の体制整備も、単なる事務作業として片付けるのではなく、自院の診療を続けるための備えとして取り組んでいただければと思います。

現在、機能強化加算を算定していてBCPがまだ手つかずの医療機関、あるいはこれから届出を目指したい医療機関は、こちらまでお問い合わせいただければ個別に対応いたします。届出書の作成代行も承っております。


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