2026/9/21

備忘録

9月30日で切れる経過措置|届出が必要な11項目と、期限は10月14日

出典 :厚生労働省「経過措置について」(001728940)令和8年度診療報酬改定 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「令和8年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準の取扱いについて」(令和8年9月10日) 関東信越厚生局「令和8年度診療報酬改定における経過措置施設基準の取扱い」
 ※通し番号は経過措置通知の番号


2026年度の診療報酬改定では、新しいルールをすぐに適用しなくてもよいように、経過措置が設けられました。全部で64項目あります。

ただし期限は一律ではなく、10種類に分かれています。令和8年5月31日(1項目・終了済み)、9月30日(12項目)、12月31日(6項目)、令和9年3月31日(5項目)、5月31日(21項目)、令和10年3月31日(2項目)、5月31日(5項目)、令和12年5月31日(1項目)、令和14年5月31日(1項目)、そして期限の定めのないもの(10項目)です。

次に迫っているのが、令和8年9月30日の12項目です。

この9月30日の経過措置について、令和8年9月10日に厚生労働省から事務連絡が出ました。10月1日以降も算定を続けるために届出が必要な施設基準と、届出は要らないものの注意が必要な施設基準が、一覧で整理されています。この記事では、その内容をもとに、何をいつまでに出せばよいかをまとめます。


経過措置は「満たしているものとみなす」規定です

今回の経過措置は、令和8年3月31日時点で届出をしていた医療機関について、改定後の新しい基準を実際には満たしていなくても、満たしたものとして扱うという内容です。

裏を返すと、9月30日を過ぎた時点で「みなし」がなくなり、10月1日からは改定後の基準そのもので見られます。基準を満たせていなければ、その入院料や加算は算定できなくなります。

9月30日で終わる12項目

医科が11項目、訪問看護が1項目です。

通し番号

対象

みなされていたこと

5

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(A100等)

重症度、医療・看護必要度に係る施設基準を満たしているものとみなす

6

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度(A100等)

急性期病院一般入院基本料の重症度、医療・看護必要度の基準を満たすものとみなす

16

療養病棟入院基本料(A101)

医療区分2及び3の患者が6割である要件に該当するものとみなす

17

急性期総合体制加算(A200)

急性期病院A一般入院料を算定していることの基準を満たしているものとみなす

33

急性期総合体制加算(A200)

一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る基準を満たしているものとみなす

47

回復期リハビリテーション病棟入院料(A308)

リハビリテーション実績指数に関する実績要件に該当するものとみなす

48

回復期リハビリテーション病棟入院料(A308)

休日を含め週7日間リハビリテーションを提供できる体制に関する施設基準に該当するものとみなす

50

精神科急性期治療病棟入院料2(A311-2)

精神科地域包括ケア病棟入院料を算定した期間と通算して180日を限度として「ハ」を算定できる

51

精神科急性期治療病棟入院料2(A311-2)

看護配置に係る要件以外を満たすこととする

55

外来腫瘍化学療法診療料1(B001-2-12)

患者の急変時の緊急事態等に対応するための指針の整備に係る基準を満たしているものとする

57

在宅患者訪問看護・指導料 注19 訪問看護医療情報連携加算(C005)

ウェブサイト掲載の基準に該当するものとみなす

63

訪問看護管理療養費 注14 訪問看護医療情報連携加算

ウェブサイト掲載の基準に該当するものとみなす

10月1日以降も算定するなら、届出が必要な11項目

事務連絡で「令和8年10月1日以降も算定する場合に届出が必要なもの」とされたのは、基本診療料9項目、特掲診療料2項目の計11項目です。いずれも、令和8年3月31日時点でそれぞれの施設基準を届け出ていた医療機関が対象です。

区分

10月1日以降に算定する施設基準

届出が必要な様式

基本診療料

急性期一般入院基本料1〜5

別添7の様式10

基本診療料

療養病棟入院料2

別添7の様式6の2

基本診療料

特定機能病院A・B・C入院基本料(一般病棟に限る。7対1入院基本料に限る。)

別添7の様式10

基本診療料

専門病院入院基本料(7対1入院基本料に限る。)

別添7の様式10

基本診療料

急性期総合体制加算1〜5(旧・総合入院体制加算1〜3または急性期充実体制加算からの移行)

別添7の様式10

基本診療料

地域包括医療病棟入院料2

別添7の様式10

基本診療料

回復期リハビリテーション病棟入院料2

別添7の様式49

基本診療料

回復期リハビリテーション病棟入院料3

別添7の様式49の2

基本診療料

回復期リハビリテーション病棟入院料4

別添7の様式49、様式49の2

特掲診療料

外来腫瘍化学療法診療料1

別添2の様式39

特掲診療料

周術期栄養管理実施加算

別添2の様式87の45

様式は、施設基準ごとの全様式ではなく、必要最小限のものに絞られています。医療機関の負担軽減のためと事務連絡に書かれています。

周術期栄養管理実施加算は、見落としやすいので注意してください。入院料ではなく手術の加算であるうえ、要件が「急性期総合体制加算の届出を行っていること」になっています。周術期栄養管理実施加算を届け出ていて、旧・総合入院体制加算や旧・急性期充実体制加算から急性期総合体制加算に移る医療機関は、急性期総合体制加算とあわせて2本の届出が要ります。

期限は10月14日。10月末までに受理されれば10月1日に遡ります

事務連絡では、令和8年10月14日までに届出書が提出され、同じ月の末日までに要件審査を終えて受理されたものは、10月1日に遡って算定できるとされています。

関東信越厚生局のページでは、提出期限を令和8年10月14日(水)必着とし、提出先は医療機関の所在する都県を管轄する事務所(埼玉県は指導監査課)としています。すでに届出を済ませている場合は、改めて届け出る必要はないとも書かれています。これは、改定後の令和8年6月1日以降に、経過措置に頼らず改定後の基準で届出を済ませている場合のことです。

遡って算定できるのは、10月末までに受理された場合です。審査で差し戻しがあると間に合わなくなるおそれがあるため、期限ぎりぎりではなく、早めに出しておくほうが安全です。

なお、施設基準届出チェックリストで届出期限が10月1日とされていた回復期リハビリテーション病棟入院料1と特定機能病院リハビリテーション病棟入院料は、今回の11項目に入っていません。関東信越厚生局のページでは、この2つは令和8年7月31日に経過措置が終わる「8月経過措置」として、8月12日必着で整理されています。

届出は要らなくても、10月1日から基準で見られるもの

事務連絡には、届出は求めないものの「令和8年10月1日以降も算定するに当たり注意が必要なもの」も並んでいます。届出がないからといって何もしなくてよいわけではなく、10月1日からは改定後の基準や評価票で見られます。

対象(令和8年3月31日時点の届出)

10月1日以降に算定する施設基準

急性期一般入院料1

急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料

結核病棟入院基本料(7対1入院基本料に限る。)

結核病棟入院基本料

急性期一般入院料6、地域一般入院料1、特定機能病院入院基本料・専門病院入院基本料の一部

同じ入院料(改定前の評価票で評価できるのは9月30日まで)

看護必要度加算1〜3

看護必要度加算1〜3

一般病棟看護必要度評価加算

一般病棟看護必要度評価加算

急性期看護補助体制加算

急性期看護補助体制加算

看護職員夜間配置加算

看護職員夜間配置加算

看護補助加算1

看護補助加算1

病棟薬剤業務実施加算の注2 薬剤業務向上加算

薬剤業務向上加算

脳卒中ケアユニット入院医療管理料

脳卒中ケアユニット入院医療管理料(改定前の評価票で評価できるのは9月30日まで)

地域包括ケア病棟入院料

地域包括ケア病棟入院料1〜4、地域包括ケア入院医療管理料1〜4

精神科地域包括ケア病棟入院料

精神科急性期治療病棟入院料2

特定一般病棟入院料の注7

特定一般病棟入院料(地域包括ケア1)

訪問看護医療情報連携加算(在宅患者訪問看護・指導料、訪問看護管理療養費)

訪問看護医療情報連携加算

看護補助や夜間配置の加算は、要件に重症度、医療・看護必要度の基準が入っています。入院料の届出だけに目が行くと、加算の基準を確認し忘れます。

急性期病院A・B一般入院料は、届出のやり直しは不要です

急性期一般入院料1から急性期病院A一般入院料または急性期病院B一般入院料に移った病棟は、上の「注意が必要なもの」に入っています。届出が必要な11項目の「急性期一般入院基本料1〜5」とは別の扱いで、10月1日に向けて届出を出し直す必要はありません。

ただし、みなしが外れるのは同じです。10月1日からは、急性期病院一般入院基本料の重症度、医療・看護必要度の基準を実際に満たしているかで判定されます。

また、旧・総合入院体制加算や旧・急性期充実体制加算を届け出ていた病院は、入院料の届出は不要でも、急性期総合体制加算の届出は必要です。入院料と加算で扱いが分かれるので、混同しないようにしてください。

なお、急性期一般入院料2から5を届け出ていて急性期病院B一般入院料に移った病棟は、この経過措置の対象ではありません。急性期病院一般入院基本料の重症度、医療・看護必要度をみなす規定は、急性期一般入院料1からの移行に限られているためです。こうした病棟は、移行の届出の時点で、経過措置なしにBの基準を満たしている必要がありました。9月30日を境に扱いが変わることはありません。

実績で決まるものと、書類で間に合うもの

10月までに動かせるかどうかは、項目によって大きく違います。

日々の実績で決まるものが3つあります。療養病棟入院料2は、医療区分2と3の患者割合が6割以上であることです。回復期リハビリテーション病棟入院料2と4は実績指数32以上、入院料3と4は休日を含めた週7日間の提供体制です。

いずれも患者構成やリハビリの提供実績の積み重ねで決まる数字です。いまから対策を考えても、動かせる幅はほとんど残りません。該当する病棟があるなら、届出を出す前に、いま時点の数字を確認してください。

一方で、書類と体制の整備で間に合うものもあります。外来腫瘍化学療法診療料1は、患者の急変時の緊急事態等に対応するための指針の整備です。訪問看護医療情報連携加算は、ウェブサイトへの掲載です。作業量としては大きくありませんが、着手を忘れたまま10月を迎えると算定できなくなります。

まとめ

経過措置は「満たしているものとみなす」規定で、9月30日でそのみなしが外れます。10月1日からは実際の数字で判定されます。

10月1日以降も算定するために届出が必要なのは、急性期一般入院基本料1〜5、療養病棟入院料2、急性期総合体制加算、回復期リハビリテーション病棟入院料2〜4、周術期栄養管理実施加算など11項目です。10月14日までに提出し、10月末までに受理されれば、10月1日に遡って算定できます。

急性期病院A・B一般入院料や、看護補助・夜間配置の加算、地域包括ケア病棟入院料などは届出が不要ですが、10月1日からは改定後の基準で見られます。届出の要否と、基準を満たしているかは、分けて確認してください。

なお9月30日の次は、令和8年12月31日に6項目の経過措置が終わります。特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料が含まれますので、該当する病棟をお持ちであれば続けて確認が必要です。

「うちはどの項目に届出が必要なのか」「様式の書き方が分からない」といったご相談がありましたら、お気軽にお声がけください。対象の洗い出しから、厚生局への届出まで対応いたします。


山一社労士事務所|オンライン対応で全国対応可 無料相談はこちら