備忘録
山梨県市町村総合事務組合「令和8年度入札参加資格定期審査」について
そもそも入札参加資格はなぜ必要なのか
自治体が物品を買ったり、業務を外部に委託したりするとき、相手は自由に選べるわけではありません。あらかじめ審査を受けて有資格者名簿に登録されている事業者の中から選ぶのが原則です。
つまり、登録がなければ、そもそも声がかからないし、入札公告が出ても参加できません。営業活動より前に置かれた前提条件です。
山梨県では、甲府市を除く26市町村と14の一部事務組合が、山梨県市町村総合事務組合で審査を共同処理しています。1回申請すれば、登録を希望した団体すべてに登録されます。市ごとに申請を繰り返す必要はありません。
区分は工事と物品製造・役務提供等に分かれており、社会保険労務士やコンサルタントのような役務の提供も後者の対象です。「入札は建設業の話」というわけではありません。
有効期間は2年です。当方の現在の資格は令和9年3月31日で切れます。ここで更新しないと、次の機会は翌年度の中間審査まで1年空きます。その間、自治体案件には手が出せません。更新の年は、営業計画の側から逆算して先に押さえておくべき作業です。
以下、令和8年度の定期審査を物品製造・役務提供等の区分、個人事業者として申請するにあたって確認した内容を、手順の順に並べます。
1. 申請の方法
いちばん最初に押さえるところです。定期審査は2段構えになっていて、電子申請と紙の提出を、別の期間に別々に行います。
段階 | 令和8年度の期間 |
|---|---|
電子申請(やまなしくらしねっと) | 9月28日(月)10:00 〜 10月22日(木)17:00 |
申請書類の提出(郵送等) | 10月26日(月) 〜 11月18日(水) |

画像のように、今回はとてもわかりやすい電子申請の説明動画まで用意してくれています。(画像クリックするとリンクへ)
電子申請を終えても、それだけでは資格は取れません。紙の提出が必ず必要で、しかも期間が後ろにずれて設定されています。データだけで済む書類は1点もありません。
期間外は一切受け付けられません。手引と様式は組合のホームページで9月1日に公開されるので、まずここを取りに行きます。区分ごとに別のZIPになっていて、物品製造・役務提供等の手引ZIPには、概要・電子申請の操作の手引・申請の手引・納税証明書の提出マニュアル・Q&A集の5冊が入っていました。
紙はフラットファイルに綴じて1部提出します。提出した書類は返却されません。控えを取ってから送ってください。
2. 添付書類
必須書類は14点です。条件付きのもの(委任状、委任営業所の所在証明書、登録・許可証明書等)は、該当しなければ提出しません。当方は委任をしていないため、実際に出すのは11点でした。
分類 | 書類 |
|---|---|
電子申請で作るもの | 申請書(電子申請後にPDFを出力して印刷) |
自分で作る様式 | チェックシート、使用印鑑届、営業経歴書、誓約書、役員名簿 |
取ってくる証明書 | 印鑑証明書、身分(身元)証明書、国税・都道府県税・市町村税の証明書 |
ここで知っておくと楽になるのが、書類の区分です。
手引には「原本」と「原本(写)」という区分があり、「原本(写)」は原本またはコピーの提出、と定義されています。証明書5点はすべてこの区分でした。
つまり、証明書は1通だけ取って原本は手元に残し、コピーを提出できます。同じ証明書を2通取る必要も、原本を手放す必要もありません。一方、自分で作る様式は「原本」区分なので、原本を提出します。
使用印鑑届だけは、作成日の縛りが逆向きです
証明書には「令和8年6月28日以降に発行されたもの」という過去方向の縛りがかかります。ところが使用印鑑届は、作成日が「申請期間及び申請書類提出期間内」であることが求められます。令和8年度なら9月28日から11月18日までの日付です。
身分(身元)証明書は本籍地です
個人事業者は、法人の登記事項証明書に代わるものとして身分(身元)証明書を提出します。これを取るのは住所地ではなく、本籍地の市区町村です。
本籍を現住所と別の市区町村に置いたままの方は郵送請求になり、往復で日数がかかります。書類のなかで、いちばん先に動かすのがこれです。
様式は必ずその年度のものをダウンロードして使ってください。様式番号は改定されることがあります。
3. 面倒なのが納税証明書(未納がない証明)
いちばん手間がかかるのがここです。国税、県税、市税でそれぞれ証明書が必要でそれぞれ窓口が違うためです。
国税はe-Taxで取れますが、選択肢を間違えやすいです
国税に未納がない証明書は、e-Taxでオンライン請求できます。窓口へ行かずに済む唯一の証明書です。
ただし証明書の種類の選択画面に5つ並んでおり、個人事業者が選ぶべきものは「その3の2」です。
選択肢 | 内容 |
|---|---|
その1 | 納付すべき税額、納付した税額及び未納税額の証明 |
その2 | 申告所得税及復興特別所得税の所得金額の証明 |
その3 | 未納の税額のないことの証明 |
その3の2 | 申告所得税及復興特別所得税と消費税及地方消費税に未納のないことの証明 |
当方は最初に「その3」を選んでしまい、請求し直しました。名前が似ていて、並び順で「その3」が先に来るためです。
救いになるのが、手数料を納付して初めて交付される仕組みです。送信すると即時通知と受信通知が届きますが、この時点では発行されていません。手数料(1通370円)を納付してから発行されます。逆にいえば、間違えて請求しても納付しなければ交付されないので、実害は出ません。送信した直後に慌てて納付しないほうが安全です。
県税は県税事務所でしか取れません
都道府県税に未納がない証明書は、県税事務所です。県のホームページで納税証明書交付請求書の様式をダウンロードして、幸いなことに事務所の近くに県の合同庁舎があったのでそちらで手続きをすることができました。その場で手数料400円を納めすぐに発行してくれました。
市税は税務課の窓口で手続き
「市町村税の完納証明書」を市役所の税務課窓口で申込書を記入してその場で発行してくれました。ついでに市民課で身分証明書も発行してもらいました。それぞれ300円。ちなみに印鑑証明はコンビニでマイナンバーカードで発行しました(200円)
窓口の数を先に数えておく
まとめると、当方の場合はこうなりました。市役所とコンビニで印鑑証明書・身分証明書・市町村税の完納証明書の3点、県税事務所で1点、e-Taxで1点です。身分証明書の本籍地が市外の方は、ここに郵送のやりとりが加わります。
4. 添付データにも決まりがあります
電子申請に添付するPDFは4点で、ファイル名まで手引で指定されています。当方の年度では「01_使用印鑑届」「02_印鑑証明書」「03_身分証明書」「04_営業経歴書」で、使用印鑑届だけはカラーで変換するよう指定されていました。
CD-Rで提出する方法もありますが、その場合はディスク本体の表面に商号を記入し、穴の空いた不織布ケースでフラットファイルに固定します。USBメモリやSDカードは使えません。
役員名簿は扱いが少し違い、Excelのまま添付します。データ名にも決まりがあり、「物品役員名簿」に事業者名を続けた形にします。かっこは全角で、環境依存文字は使いません。
ここは不備の代償が重い箇所です。手引に「独自様式の利用や入力情報に不足等不備がある場合には、入札参加資格が得られません」と明記されています。書類の不足なら補正で済むことがありますが、この欄は最初から指定どおりに作ってください。
5. 登録内容に変更があるなら変更申請を
商号や所在地、代表者を変えている場合は、定期審査より先に変更申請を済ませます。
わたしは事務所を移転していたにもかかわらず変更申請を出しておらず、定期審査の準備と並行して片づけることになりました。組合に電話で確認したところ、変更申請は定期審査の前に必要という回答でした。放置していると、入札の通知が旧住所に送られている可能性もあります。
判断に迷う箇所は、審査機関に電話で聞くのが結局いちばん早いです。手引は全部の事業形態を書き切れないので、当てはまらないケースが必ず出てきます。
まとめ
自治体の入札参加資格は、登録がなければ声もかからない前提条件です。山梨県では1回の申請で、甲府市を除く26市町村と14の一部事務組合に登録されます。有効期間は2年で、更新を落とすと次の機会まで1年空きます。
申請は電子申請と紙の提出の2段構えで、期間が別に設定されています。電子申請だけでは終わりません。
必須書類は14点。証明書は「原本(写)」区分なのでコピーの提出で足り、原本は手元に残せます。一方で使用印鑑届は作成日が申請期間内である必要があるので注意が必要です。
手間がかかるのは納税証明書です。発行日の基準日は年度ごとに数日ずれるため毎回手引で確認します。窓口は市役所・県税事務所・e-Taxの3つに分かれ、身分証明書は本籍地です。本籍が遠い方はここから始めてください。
添付データはファイル名とデータ名まで指定されています。ここは補正がきかない箇所なので、指定どおりに作ってください。
登録内容を変えている場合は、定期審査より先に変更申請です。名義が確定しないと様式が作れません。
書類づくりそのものは難しくありませんが、期間と発行日と窓口が絡み合っているため、順序を間違えると間に合わなくなります。更新の年だけは前倒しで動くことをおすすめします。
なお、申請そのものを人に任せたい場合は、行政書士にご依頼ください。官公署に提出する書類を作成すること、およびその提出手続を代理することは、行政書士法第1条の2・第1条の3で行政書士の業務とされています。社会保険労務士がこれを代わりに行うことはできませんので、当事務所も入札参加資格の申請代行はお受けしていません。
この記事は、自分の事務所の申請にあたって確認した内容をまとめたものです。社会保険労務士が入札に参加するということはあまりないかもしれません。登録業者一覧見ても社会保険労務士事務所はほとんどありませんでした。備忘録として残しておきたいだけですので、労務のご相談のついでに段取りを聞いておきたい、ということでしたらお気軽にお声がけください。
山梨県と甲府市は独自で入札参加資格の審査を行っていますので、申請する際はまた備忘録として記事を公開したいと思います。
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